「リアルな仕事」を体験させ
この「仲間」と「環境」で仕事したいと思わせる

近藤悦康氏
近藤悦康氏は「売り手市場においても、内定辞退ゼロの中小・ベンチャー企業もある」と指摘する

 売り手市場となると、大手企業から内定が取りやすいと考え、本人だけでなく学校の先生や両親といった周囲からも大手企業への就職を勧められます。ほとんどの学生が就活を始めた当初は、中小・ベンチャーを「本命企業」にすることは、なかなかありません。いわば「滑り止め企業」なのです。

 では、どうすれば中小・ベンチャー企業が「本命企業」になるのか。

 そのためには、まずは企業側が「選ぶ採用」から「選ばれる採用」に変えていくことからです。恋愛で例えるなら、相手に告白をしても、相手が選んでくれなければ結ばれないのです。

 最近は、学生に選ばれるために、「うちの会社は残業が少なくて、休日が多い会社です」とアピールしている会社が目につきますが、果たして有効なのでしょうか。あなたがもし会社の経営者だったときに、学生から「残業が少なくて休日が多いから御社を選びました」と果たして言われたいでしょうか?

 中小・ベンチャーが採用活動において、ブランドや知名度、規模で勝負することは難しい面があります。

 ですから、「一体、何で選ばれたいのか?」。

 この問いの本質を見出す必要があるのです。人が企業を選ぶ際に最終的には、「箱」よりも「中身」が重視されます。選考プロセスを通してリアルな「中身」に触れてもらい、「この仕事をこの仲間と、この環境でやりたい」と本人が決断できるように情報と環境を提供することが大切なのです。

 残業や休日、給与など見た目の数字だけよく見せて、実際の職場を見せない会社は、逆に危ないと私は思います。ちなみに当社の採用の場合、今年私が社長面接をした学生は、既に大手企業から内定が出ていて、私たちの会社と迷っていました。私たちは選考プロセスの中で約50時間、当社の仕事や社員に触れてもらっているため、働くイメージも社員も職場環境もよく理解されています。