今年は「働き方元年」とも言われ、4月1日からは働き方改革法が随時施行されました。そこで、シリーズ累計131万部突破のベストセラー『伝え方が9割』の著者、佐々木圭一さんに、「働き方改革」推進に役立つ「伝え方」を教えてもらいました。(構成/伊藤理子)
「社員の働く時間を短縮しつつ、収益を上げる」伝え方のコツ
「働き方元年」を迎え、働き方改革に取り組む企業が増えていますが、現場では試行錯誤が続いている様子。単に残業を規制し、働く時間を短くするだけでは、売り上げも利益も下がってしまうため、各社ともより良い方法を模索しているようです。
どうすれば売り上げ・利益を減らさずして、社員の働く時間を短縮できるのか?そのヒントとして私がご紹介したいのが「伝え方の技術を用いたコミュニケーション」です。
最近、『伝え方が9割』をもとにした企業研修を行う機会が増えています。この「伝え方が9割研修」を実施した企業では一様に、働く時間が短縮されているのに収益は逆に増えているそうです。すなわち、「伝え方の技術」を用いた社員同士の円滑なコミュニケーションが、働き方改革を後押しし、会社にも好影響を与えているということ。今回はぜひ皆さんにも、働き方改革に効く「伝え方」を知っていただければと思います。
上司に早くイエスをもらう「伝え方」
【Case1】社内システムの使い方を教えてほしい
勤務時間の中で最も無駄なものは「待ち時間」。上司の承認がもらえない、クライアントの決済が下りないなどの理由で、業務が滞ってしまった…という経験、よくありますよね?
こういう待ち時間も、伝え方の技術でぐっと減らすことができます。
例えば、上司に提出した企画案を、なかなか承認してもらえない場合。早く先に進みたくて、
×「この前の企画、早く承認してください!」
とストレートに伝えてしまうと、「今忙しいからもう少し待って」とか「まだ検討中だから」などと言われてしまうかもしれません。
そんなときは、こう伝えてみてください。
〇「山本課長に教えていただいたことを踏まえて、AとBの企画を考えてみました。ご確認いただけませんか?」
これは「認められたい欲」と「選択の自由」という2つの技術を使っています。「山本課長に教えていただいたことを踏まえて~」という言葉からは、部下が自分をリスペクトしてくれていることが伝わってきます。人は認められると、それに対して応えたくなるものなのです。
そして、「AとB」という2つの選択肢を提示されると、人は思わずどちらかを選んでしまうんですね。このような伝え方をすれば、その場で「じゃあA案で行こう!」とゴーサインを出してくれる可能性が高くなります。
「認められたい欲」…人は期待されると、その通りの成果を出したくなるもの。ビジネスや職場の人間関係に、効果絶大です。
「選択の自由」…どちらを運ばれてもいいように、自分のやってほしいものを2つ並べるのがポイント。最終的に相手が選ぶので、押し付けられた感が少なくなる効果もあります。