部下に働き方を変えてもらう「伝え方」

【Case4】ダラダラ仕事せず、早く帰ってほしい

会社を挙げて働き方改革を進める中、部下の退社時間に気を揉んでいる役職者は多いことでしょう。もっと効率的によく働いて、しっかりと定時に帰ってほしい…と思っても、

×「もうこんな時間だ。早く帰って!

とストレートに伝えては、「仕事はまだまだあるのに、帰れだなんて!」「会社の言いなりで、現場のことをまるでわかっていない上司だ」などと煙たがられてしまいそうです。
こんなときは、このように伝えてみてください。

〇「吉田君はいつも頑張っているから、基礎はバッチリだね。もっとスキルアップしてほしいから、これからはスピードも重視しよう」

これは伝え方の技術「認められたい欲」を使った伝え方です。「いつも頑張っているから基礎はバッチリ」と褒められると「上司に認められた」と嬉しく思い、その期待に応えたくなるものです。そのうえで、スピードアップしてほしいと伝えれば、「期待されているからこそのアドバイス。次のステージに進んでほしいということだな」と前向きに捉えてくれるでしょう。自分から能動的に、「業務の進め方を見直し、スピードアップにチャレンジしてみよう」と思ってもらいやすくなります。

もちろん、「こう伝えれば100%言うことを聞いてくれる」というわけではありません。ただ、伝え方を工夫するだけで「イエス」をもらえる確率をぐんと上げることができるのです。

【Case5】頑張りすぎの部下に、有給休暇を取ってほしい

プロジェクトリーダーに抜擢した部下。仕事熱心なのはいいけれど、少し頑張りすぎているのでオーバーヒートしないか心配…。しかし、そんな部下に有給休暇を取らせたくて、

×「そろそろ有休を取りなさい」

と伝えても、そう簡単に取ろうとは思ってもらえないでしょう。仕事が乗っている時期なら、なおさら「今はいいです」と言われてしまいそうです。
そんなときは、こう伝えてみてください。

〇「チームみんなで協力して、休みやすい体制をとっていこう。私は6月に休むから、君は7月か8月でどう?

これは「チームワーク化」「選択の自由」という2つの技術を使った伝え方です。
「みんなでやろう」と言われると、人はその誘いに乗りたくなるもの。ストレートに「有休を取りなさい」と言われるよりも、みんながそうするから…と言われると、「いつ取ろうか」と前向きに検討するようになります。さらに「7月か8月でどう?」というように選択肢を与えると、どちらかの月をすんなり選んでくれるでしょう。

●今すぐ使える「伝え方」ポイント
「チームワーク化」…人は「一緒に」と言われること自体が嬉しいのです。仲間意識が生まれるため、面倒な頼みも聞き入れてもらいやすくなります。

まとめ

さまざまなシーンでの「伝え方」を解説しましたが、業務効率化にあまり協力的でない人を動かすには「チームワーク化」と「選択の自由」が効果的です。
チームワーク化で「みんなで一緒に」と巻き込み、選択肢を与えて「自然に選ばせる」ことで、効率的な働き方を促進することができるでしょう。

「こう言えばよかったんだ!」<br />働き方改革に効く伝え方 5事例

佐々木圭一(ささき・けいいち)
コピーライター/作詞家/上智大学非常勤講師
上智大学大学院を卒業後、97年大手広告会社に入社。後に伝説のクリエーター、リー・クロウのもと米国で2年間インターナショナルな仕事に従事。日本人初、米国の広告賞One Show Designでゴールド賞を獲得(Mr.Children)。カンヌ国際クリエイティブアワードでゴールド賞他計6つ獲得、など国内外55のアワードを入賞受賞。福岡県クリエイティブディレクター、シェラトンJAPANクリエイティブディレクター、などブランディング、広告CM制作多数twitter:@keiichisasaki Facebook:www.facebook.com/k1countryfree HP: www.ugokasu.co.jp