北欧の人たちにとって
「旅」は人生の大きなテーマ
さて、日本はどうでしょうか。都心に住めば便利だし、住居というところだけを見れば、それほどレベルは高くないもののまあ悪くはない。
ただ「住環境」という意味でいうと、すぐそのへんでサーフィンができるとか、スポーツができるといった、ライフスタイルをつくるうえで重要な「体験的なもの」については弱いと言わざるを得ません。
同じように、北欧の人たちにとって、人生の大きなテーマとなっているのが「旅」です。
それも日本人のように「どこかに買い物に行きます」という旅ではなく、「違う街に行って生活する」とか「海でスポーツをする」とか「山で自然と触れ合う」というもの。これもやはり経験的な幸せです。
「旅はたくさんしたいですね。自分の世界が広がるし、同じところにいるとどうしても煮詰まってしまうので。それが“開ける”感覚がまず大切です。旅をしていていつも思うのは、観光スポットに行くのではなくて、そこに住んでいるような感覚でいたいということ。そうすると自分の文化もまた改めて別の視点で見ることができるから」
テーム・マンニネンさん/フィンランド/作家・翻訳家
「自然がいつも近いところにあること。そして旅行に出られることも、すごく幸せだと思います」
アルト・トゥルネンさん/フィンランド/「ノキア」勤務
「まとまった休みの一部は旅行に使いたいですね。違う国に行って、その国の文化に触れてみたい」
ニーナ・コリアンダーさん/フィンランド/「イッタラ」プレス
テーム・ヤルヴィさんの趣味は、自然の中で、魚を釣ったり、ハンティングをすること。そうしたライフスタイルが、仕事にもつながっているといいます。
「友だちと遊んでいても、釣りをしていても、頭の中にアイデアがよぎることがありますね。僕はイスに座って仕事をいっさいしないので、仕事をしている時間を聞かれると答えに困ります(笑)。毎日が仕事で、毎日が休みみたいなものですね」
テーム・ヤルヴィさん/フィンランド/家具デザイナー