不便がつらいではなく、
不便は楽しい
北欧の人たちの多くは、自宅のほかに休暇中に訪れるサマーハウスを持っています。そこには私たちがイメージする別荘とはほど遠い、ある特徴がありました。
それは、とても不便ということ。
フィンランドで暮らすテーム・ヤルヴィさんは、首都のヘルシンキから1200キロのところにサマーハウスを持っています。そこには電気も水道も通っていないし、一番近いお店まではなんと75キロも離れているそう。
「1週間しかいないところだし、夏は白夜で真夜中でも真昼みたいなので、電気は必要ありませんね。充電もできないので、携帯電話も置いて行きます。自然のど真ん中で、テレビとかPCとか、そういうもの一切から離れられる。心静かに過ごせて、浄化される気がします」
テーム・ヤルヴィさん/フィンランド/家具デザイナー
取材の中では、多くの人からサマーハウスの話を聞きましたが、みなさんそういう不便なところに行きたがると話してくれました。
「自分たちが自然にすごく近いところにいる。フィンランドでは普通のサマーハウスのあり方です。水もちょっと離れた井戸まで行って汲んでくるんですよ」
アルト・トゥルネンさん/フィンランド/「ノキア」勤務
「何もないところって、薪を割ったり、やらなきゃいけないことがいっぱいあります。そういうことをしていると一日があっという間に過ぎてしまう。やることがたくさんある、それが楽しいんです」
ニーナ・コリアンダーさん/フィンランド/「イッタラ」プレス
便利な時代に、「あえて」不便を求める。無理やりやらされたら、めちゃくちゃ不便でつらいことなのでしょうが、あえて選択すれば、そこに楽しみが生まれるのです。

「サバイバルできることが大人の条件みたいな感覚がありますね。たとえば水が出なかったら、日本ならすぐに水道屋さんを呼ぶところですが、そんなことは絶対ない。できることは、まず自分でやってみる。庭も自分でいじろうと、パワーショベルを買ってきちゃったくらい」
サトコ・タナカ・フォールスバーグさん/デンマーク/船舶会社勤務
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