Cさん「彼はもっともっと成長したいっていう気持ちが人一倍強いようなんです。だから今のままではダメだって思っているみたいです」
A社長「もっともっと成長したい?」
Cさん「ええ、そういう意味のことをよく話しています」
A社長「今の仕事では成長できないって言うのかな?」
Cさん「普段、口にしていることからして、おそらく彼はそう考えているんだと思います」

 ここ数年、こうしたよくわからない理由で辞めていった若い社員が何人もいる。今回も同様のケースであり、貴重な人材を繰り返し失いたくないという社長の気持ちがにじみ出ていた。

就職動機でも転職動機でも
「成長欲求の充足」が鍵を握る

 最近の若い社員と話をしていて、よく耳にするのが「成長したい」「成長できるような仕事がしたい」といった言葉だ。

 私が面談した人たちも、転職の動機に関して、給料や勤務条件に不満はないものの「このまま今の職場にいても、成長できるような気がしない」と語るケースが少なくない。

 就職情報会社が行った調査によると、今春就職が内定していた大学生に、入社先を確定する際に決め手となった要因を尋ねたところ、「自分の成長が期待できる」が1位だったという。
 
そんな期待を抱いた大学生たちが、この4月から働き始めている。

「成長したい」

 そういう気持ちが非常に強いのが、最近の若者たちの傾向といえる。面接担当者ならお分かりだと思うが、採用面接の際、次のような言葉をよく耳にするはずだ。

「自分が成長できるような仕事がしたくて御社が気になりました」
「御社なら自分が成長していけると思いました」

 したがって、若手に定着してもらうためには、自分の成長を感じられるような仕組みを作ることが求められている。

 では、人はどんな時に自分の成長を実感するのだろうか。典型的なケースとして、次の5つが挙げられる。

(1)できないことができるようになった時
(2)できること、わかることが増えていく時
(3)難しい課題をこなせるようになった時
(4)上司や先輩から褒められた時
(5)責任ある仕事を任せられるようになった時