スピード発展した
中国のシェアリングエコノミー

 中国は、シェアリングエコノミー業界の進展を3段階に分けている。2008年以前の第1段階は、海外からの帰国者がビジネスモデルを持ち帰った萌芽期、続く2009~12年は、国内で多くのシェアリングエコノミー企業が誕生した第2段階、そして2013年以降が、スピード成長期に突入した第3段階だ。

 滴滴を中心とする“ネット予約車”は今、どのような局面を迎えているのだろうか。

 2014年、シェアリングエコノミー業界は「滴滴打車(当時)」と「快的打車」に二分され、熾烈な市場争いが行われていた。そこにアメリカの「ウーバー」が参入し、大胆な値下げを仕掛ける。すると中国勢も初乗りを無料にするなどして対抗し、競争相手を潰すために巨額を投じた消耗戦が繰り広げられた。

 2015~16年にかけて、滴滴は競争相手を呑み込んだ。2015年には「快的打車」と合併、2016年8月にはウーバーの中国事業を350億ドル(当時のレートで約3.6兆円)で買収し世界を震撼させた。この結果、滴滴は市場シェアの9割を掌握し、ほぼ独占状態となった。またこの間、滴滴は「相乗り」や「高級車」などの配車サービスも開始してラインナップを充実させた。

 日本でもそうであるように、中国でも「自家用車に客を乗せて課金する行為」は合法ではなかったが、利便性を求める客に押される形でグレーな市場が発展した。

 しかし、2015年に絶頂期を迎えた滴滴はその後、不祥事と規制強化に翻弄されていく。2016年7月、国務院から『ネット予約タクシー経営サービス管理暫定弁法』(網絡予約出租汽車経営服務管理暫行弁法、以下ネット予約車法)が発表された。これにより、ネット予約車には車両登記が求められ、条件を満たした車両所有者には『ネット予約車タクシー輸送証』(網絡予約出租汽車運輸証)が与えられることになった。

 ネット予約車の運転手に対しては、『タクシー運転手従業資格管理規定』(出租汽車駕駛員従業資格格管理規定)が適用されることになり、2016年10月1日から、法律・職業道徳・サービス規範・安全運行にわたる就業資格試験の合格が必須となった。

 受験資格として、(1)自動車運転免許を保持していること、(2)3年以上の運転経験があること、(3)無事故無違反かつ危険運転歴がないこと、(4)薬物を利用していないこと、(5)飲酒運転歴がないこと、(6)暴力犯罪歴がないこと――などの条件が求められる。