【Yさんの上司の声】

 会議で話し合った方針は、Yさんにプロジェクトリーダーになってもらうことと、時短を推進してもらうことでした。

 Yさんはスキルも高く、責任感も非常に強いのですが、子育てが大変な時期なので、どちらも両立できるようにリーダー陣で最大限サポートするということを話しました。

 1on1を行う前は会社を辞めることも考えていたようですが、「マインドセット」は時間で定義されるものではなく、限られた時間の中で自分のできる努力をすればよいことや、他の家庭を持つ社員のよいロールモデルになってほしいことなどを伝えるうち、このまま会社で頑張ることを選んでくれました。「リーダー組織人材成長会議」がなければ、ここまでしっかりした対応を考える意識や余裕がなく、Yさんも退職していたかもしれません。

【Yさん本人の声】

 私のような時短社員がリーダーをやらせてもらえるなんて思っていませんでした。多くの時間を仕事に割けないことを負い目に感じていましたが、リーダーとなり、とにかく悩んでいただけでは前に進めませんし、会社が私を信じてくれるのだから、可能な範囲で期待に応えたいという気持ちになりました。

 もっと時間があれば、と思うこともありますが、時間以外で補う工夫や、生産性を上げることに目を向け、時短に関しても見本となれるよう、私なりの結果を出していければと思います。時短でも仕事に対して前向きで力のある人はたくさんいるので、これからそういう方たちを巻き込んでいきたいです。

【C社の事例】
「弁証法的会議」でリーダーの経営者視点を磨く

 C社では、重要な案件はリーダー陣(執行役員以上)の会議で「弁証法」によって決めきることを組織ポリシーにしている。

 それぞれ役職の上下はあっても、会議の中ではそれにとらわれず、常にフラットに議論しなければならない。自分の意見を明確に表明しない人や、本当は反対なのに周囲に同調するような人は会議に参加する資格がないとする徹底ぶりだ(「弁証法的会議」については、第4回「組織を弱くする「ダメな会議」の危険性、報告・レビュー型は危険!」の中で、詳しく書いている。そちらを参照いただきたい)。

「弁証法的会議」の実施内容
■重大な意思決定は、すべて「弁証法的会議」で決め切る
■全員の立場に関係なく、フラットに議論をする
■A4用紙やホワイトボードにまず各自の意見を書き、他の人に相乗りできない状態から議論を始める
■時間を決め、徹底的に議論し、それでも結論に至らずタイムオーバーになったら、あらかじめ決めた意思決定者が決める

 参加者一人ひとりが主体性を持って発言をし、議論を交わす「弁証法的会議」では、会議に参加するリーダー層の「マインドセット」と「戦略的思考力」の向上が期待できる。C社でも「弁証法的会議」を重ねるうち、その効果に手応えが感じられるようになった。