有機的な曲線を描くのはコンピュータが最も苦手なこと
――新刊『ザ・マインドマップ[ビジネス編]』では、iMindMapを使ってコンピュータでかかれたマインドマップが数多く掲載されている。コンピュータで使えるマインドマップはユーザーから待ち望まれていた。開発のきっかけとプロセスは?
2005年の初め、私が当時経営していた会社で、iMindMapを開発しようと役員会に提案をした。それまでの起業家としての成功体験の中でマインドマップの大きな力を実感していたからだ。多数の人がコンピュータを使うようになった今の時代、「本物」のマインドマップをコンピュータで使えるようにしなければ、という強い思いがあった。
だが、リスクが大きすぎると役員会では1対6で否決されてしまった。私はその会社のCEOを辞任し、iMindMapを開発するための会社を新たに立ち上げた。トニー(ブザン)に「マインドマップの本物のソフトウェアを開発するので独占契約をしてほしい」と提案したが、断られてしまった。それまでに多数のソフトウェア開発がなされたが、どれも彼が満足できるレベルに達していなかったため、懐疑的になっていたのだ。
そこでプロトタイプを見せて決めてもらうこととし、当時の私が投入できる限りのリソースを動員して開発に打ち込んだ。忘れもしない2005年12月22日、トニーにiMindMapのプロトタイプを披露する日が来た。「これはただのアニメーションだろう?」とトニーは初め信じてくれなかったが、タッチパネルで実際にマインドマップがかけるとわかると椅子から転げ落ちそうになるほど驚き、喜んでくれた。そして、その場で契約書にサインをし、本格的な開発が始まった。