多様な個人の輝きが
グループとしての魅力を創り上げている

 テレビCMでも耳にするが、現在は「多様性の時代」だ。多様性は「ダイバーシティ」という言葉に置き換えられ、“ダイバーシティ&インクルージョン”という経営ワードにおける「ダイバーシティ」は、年齢・性別・国籍・学歴・職歴・性的指向・性自認(性同一性)…といった、個人や集団間におけるさまざまな違いを表す。

 もともと、人は異質なものを嫌い、自分と同質な価値観を求め、集い合う生き物だ。

 その傾向はSNSの普及でいっそう顕著になり、自分と意見が相違する者を心の深層で排除していく。だからこそ、ダイバーシティ&インクルージョン(多様性の受容)の実現は難しく、「多様な価値観や発想からイノベーションが生まれる!」と言われても、多くの人にはピンとこない。

 しかし、メンバー間の年齢差があり、デビューまでのキャリアも大きく異なるV6の存在は、“さまざまな個性がそれぞれの能力の最高値を見せながら総体(グループ)で輝くことの美しさ”を思い知らせてくれる。

 いや、実はそれはV6に限らない。ジャニー喜多川さん率いるジャニーズ事務所がビルドするチームの多くは、多様な個人の輝きが集合組織(グループ)としての魅力を創り上げているのである。2006年に期間限定でデビューしたKitty GYM(ジャニーズJr.4人の「Kitty」と山下智久&タイ出身兄弟デュオGOLF&MIKEの3人による「GYM」が合体した計7人)は、まさに、年齢も国籍も超えた“ダイバーシティ”ユニットだった。

 芸能界において、ジャニーズ事務所のグループを里程標とするように、性別にかかわらず、あらゆるアイドルグループやユニットが生まれては消えていくが、メンバーの均一性よりも不一な個性をウリにする方向性は、ジャニー喜多川さんのチームビルデイングに倣っているともいえる。