喜ばせることに徹した
ジャニー喜多川さんの巧みな演出
ダイバーシティをテーマにした雑誌「オリイジン」(ダイヤモンド社刊)のインタビューで、V6のリーダー坂本昌行は、グループのメンバーがよく話し合い、意見をぶつけ合うと語っている。グループ全員で話す時には言えないことも、1対1で話をすると素直な意見を言えることもある、と。
まさにこれこそが、ダイバーシティ社会における相互理解の姿勢であり、対人コミュニケーションの理想像だろう。年齢のジェネレーション・ギャップを埋めるヒントもここにある。
インクルージョン(受容)のキーワードは「個性の尊重」――。
人材養成において、それを生涯実行し続けたジャニー喜多川さんの強い思いは、事務所所属のタレントとファンに対する深い愛情へと昇華していた。
そう、ジャニーズ事務所のタレントが出演するコンサートや舞台を一度でも観た者なら分かるが、来場者を楽しませ、喜ばせることに徹したジャニー喜多川さんの巧みな演出は、タレントとファンへの愛情あってのものだった。
令和元年(西暦2019年)7月9日、日本のエンターテインメント界は、唯一無二、不世出のプロデューサー・演出家を失った。繰り返すが、それは、言葉では表現しきれないほどの衝撃だ。
けれども、哀しみの淵にあるタレントやファン、メディア関係者に向かって、ジャニー喜多川さんはこう告げるだろう。
Show must go on!
約半世紀にわたり、芸能界を牽引し続けた“キング・オブ・エンターテインメント”ジャニー喜多川さんのご冥福を心からお祈り申し上げたい。