一過性の減少か、あるいは新ジャンルの成長が止まったのか――。さまざまな観測が業界を駆け巡る。

 一部にあるのは天候不順が原因との見方だ。確かに6月下旬の平均気温は前年より2度ほど低かった。また今年は6月の営業日数が前年より1日少なく、これらがマイナス要因となった側面はあるだろう。

 だが、そうした外部要因よりも、そもそも新ジャンルの成長自体が「幻だった」(大手ビールメーカー幹部)可能性も指摘されている。

 そう思わざるを得ない、統計に大きなインパクトを与えた出来事が、昨年6月に起きているからだ。それがキリンビールによる、イオンのプライベートブランド(PB)の受託製造だ。

 イオンPBの新ジャンル「トップバリュ バーリアル」はそれまで、韓国メーカーが製造していた。そのためバーリアルは、国内4社の累計販売量からは除外されていたのだ。だが、キリンが製造を始めるようになり、その分を販売量に取り込み始めたのが昨年6月のことである。

 つまり昨年6月から今年5月まで、新ジャンルの販売が伸びていたかに見えていたのは、単にイオンPB分を集計対象にしたが故の“数字のマジック”であり、実際には新ジャンルの需要が拡大していたわけではない、という見方だ。

 この1年間の新ジャンルの販売増はPBを上乗せした“追い風参考値”であり、それが無風となった真の実力値が、3.6%減という数字に現れたというわけだ。

ビールから「RTD」への流れ止まらず

 新ジャンル躍進の“立役者”とされていたのが、キリンが昨年発売した新ジャンル『本麒麟』。記録的なヒット商品であり、1~6月の販売量は前年同期比80%増と絶好調を維持している。ただ、一方で同じくキリンの新ジャンル『のどごし』は12%減だ。新ジャンルの市場が拡大していないのだとすれば、単にブランド同士の“食い合い”が起きているに過ぎない。

 さらに深刻なのは、PBの増加が及ぼす収益悪化への影響だ。