実は、三井住友FGは「持ち分法による投資損益」が業務純益に含まれているという点が三菱UFJFGと異なる。三井住友FGの「投資益」である611億円を抜いても、“本業のもうけ”で上回る点は変わらないが、この差が純利益での雌雄を決したわけだ。

 さらに、20年3月期決算の目標値に目を移すと、このトレンドは変わらないようだ。三菱UFJFGは、業務純益では1兆0800億円と三井住友FGの目標値を下回るものの、純利益は9000億円と逆転。三井住友FGは依然として大差をつけられたままだ。

「脱住友」に伴う
リテール部門の収益低迷が懸念

 加えて、一つの不安要素が残る。今年4月から、中核子会社である三井住友銀行の評価体系が変更。これに伴い、支店では、投資信託や保険商品などの販売目標が行員に割り振られなくなり、いわゆる「ノルマ」が廃止されたのだ。

 その背景について、太田純FG社長は「顧客本位の業務運営を徹底した上で稼いでいく」と語る。主にリテール部門において、利益剥落が懸念されるが、「むちゃをして上げていた収益は(今後)追っては駄目だ」と覚悟を決める。

 ただ、19年3月期においても、市場環境が不透明だったことから資産運用ビジネスが低迷。結果として、リテール部門は減益しており、同時に、業務純益全体に占めるリテール部門の収益割合は年々減少傾向にある(図4)。

事業部門別の業務純利とリテール部門が占める割合※各年3月期(管理会計ベース) 拡大画像表示

 元をたどれば、三井住友銀においては、前身の旧住友銀行にルーツを持つ営業力が強力な“武器”であり、「うちには住友さんみたいに地を這ってでも数字を取りに行く力はない」(メガバンク首脳)と業界内で一目置かれていた。

 すでに証券業界においては、野村證券や大和証券などでノルマ廃止の動きが出ているが、ノルマを廃した野村證券が足元で最終赤字に陥るなど、凋落ぶりは著しい。

 片や三井住友銀では、個人ノルマがない分、全体を差配する「支店長の負担が増える」(太田社長)。支店長の“支店経営力”が伴わない限り、本当の意味での業界トップにはなり得ないだろう。