今回の火災も「ボン」「バン」などの激しい爆発音が何度も響き、猛烈な黒煙がスタジオを包み込んでいた。前述の消防関係者は「一気に燃え広がったのだろう。犠牲者はあの煙で視界を奪われた上、一瞬で酸素欠乏になり意識を失ったか、気道熱傷を負ったに違いない」と話す。

過去には「武富士弘前支店」強盗放火殺人事件

 ガソリンを使った事件では、01年5月に青森県弘前市の消費者金融「武富士弘前支店」で起きた強盗放火殺人事件が有名だ。男がガソリン95%の混合油約4リットルをまいて現金を要求。断られたため火を放ち、引火した炎は約3秒で一気に燃え広がった。従業員5人が犠牲となり、4人が負傷した。

 09年7月には、大阪市此花区のパチンコ店で男が床にバケツでガソリンをまき放火。客ら5人が死亡、10人が重軽傷を負った。15年6月には東海道新幹線の車内で男がライターでガソリンに着火して焼身自殺し、乗客の女性も巻き添えで気道熱傷により窒息死したほか、30人が負傷した。

 いずれもあっという間の出来事だったとされる。

 好きなアニメーション制作に取り組んでいたアニメーターたちは、まさかスタジオにガソリンで放火されるとは夢にも思っていなかっただろう。残念ながら犠牲となってしまった33人を追悼し、負傷者の一刻も早い回復を祈りたい。

 そして、京都府警にはこの男の背景に何があったのかをつまびらかにすべく、徹底した捜査をお願いしたい。