女性は救急車を要請したが、それより先に警察官が男を取り囲んだ。「何でそんなことをしたんや」。男は無表情で「パクりやがって」と答えた。ほかにも息も絶え絶えの状態ながら「チャッカマンで火を付けた」などと話したが、その後、警察官が連行。その際には「小説が盗まれた」と話したともされる。
全国紙デスクによると、この「パクりやがって」は一時、解釈を巡っていろいろと錯綜した。「小説を盗んだ」の発言が警察から発表されず「逮捕した」「盗用した」のどちらの意味なのか判然としなかったためだ。
前述の女性によると、何か世の中を呪うような物言いで、京アニについても恨んでいるような口ぶりだったらしい。
京アニには数年前からクレームや脅迫も
事件があった18日、京アニの八田英明社長が報道陣の取材に応じた。各社の報道によると、数年前から会社に作品や制作者に対するクレームや危害を加えるといった内容の脅迫があり、弁護士を通じて対応したり、警察に相談したりすることもあったという。
前述のデスクは「遊軍記者がそれらしいサイトなどを検索しているが、ネットは虚実ないまぜの世界。訳の分からない書き込みや、犯行予告みたいなものもあるが、いずれも無関係でしょう」。
京都府警は男が所持していた免許証から身元を確認しているが、数年前まで元受刑者や執行猶予判決を受けた被告のための更生保護施設に入所していた。精神疾患による通院歴もあったとの情報がある。
男は重度のやけどで治療を受けており、京都府警は回復次第、放火殺人と同未遂の容疑で聴取する方針だ。しかし常軌を逸した行動だけに、動機そのものも意味不明な「妄想」だった場合、刑事責任を問えるか困難な可能性さえ浮上してきた。