「努力のレイヤー」を変えない限り、
人一倍努力しても無意味

「努力」に意味がないのではなく、ポイントなのは「努力のレイヤーを上げる」ということです。

 努力には階層性があります。たとえばある職場で人一倍努力しているのになかなか成果が出ないというとき、もしかしたらそれは努力不足なのではなく、そもそも「場所が悪い」、つまりその仕事が求める資質と本人の資質がフィットしていない可能性があります。

 このとき、そのままひたすらに頑張るという「レイヤー1の努力」を続けることもできますし、「向いていない」という事実にしっかりと向き合い、自分にはどのような仕事が向いているかと考え、さまざまな情報を集めて次の仕事を見つけるという「レイヤー2の努力」を始めることもできます。

 職場の人から見れば「レイヤー2の努力」をしている人は「逃げた」ように見えるかもしれませんが、そんなことはありません。むしろ、あてがわれた場所を無批判に受け入れ、ひたすらにわかりやすい努力を続けるレイヤー1の行動様式こそ「安易な努力に逃げた」ということもできるでしょう。

 レイヤーの異なる2つの努力のうち、今後、より求められることになるのはレイヤー2の努力でしょう。現在、私たちのキャリアは中長期的な伸長傾向にある一方で、世界の変化は目まぐるしく、自分と仕事との関係性はかつてより短期間で変わっていくことになります。

 このとき、レイヤー1の努力だけに依存して状況を打開しようとするオールドタイプの行動様式を続けていれば、どうやっても成果の出ない場所で不毛な努力をし続けるということになりかねません。

 このような世界にあっては、柔軟に機動しながら、常に自分の価値が相対的に高まるポジションにい続けるというニュータイプの行動様式が求められます。