(1)世界の17億人が銀行口座を持っていない
(2)一般的な国際送金は、完了までに3~5営業日かかる
(3)国際送金には、送金額の約7%のコストが発生する

 このうち(1)は、発展途上国の貧しい人々が主に該当します。口座を開設するためのコストが払えなかったり、必要な書類が整わなかったり、果ては銀行までの距離が生活圏から遠すぎたりすることが原因です。こうした「アンバンクド」「アンダーバンクド」と呼ばれる人々は、何かを買ったり商売をしたりする際に、ツケで払うことが多い。当然ながらツケ払いの手数料は非常に高額です。貧しい人ほど高い信用コストを負担させられるという逆進性があります。

 また(2)と(3)は、複数の銀行を介してお金が国家間を移動するためです。バケツリレーをしているうちに、バケツの水が少しずつこぼれてしまうように、銀行を1つ介するたびに手数料という形でお金が目減りするし、時間もかかります。

 こういった課題を持つ既存の金融システムは、インターネットの世界から見れば、チャットどころかメール以前、紙の手紙を送り合っているような超・前近代的な状況です。このお金の移動をなめらかに繋げられたら、すごい市場が生まれるんじゃない?これが基本発想です。

 実は(1)についてはすでに、インドのペイTMやアフリカのエムペサといったキャッシュレス決済や送金を手がけるスタートアップが次々と勃興しています。こういった企業は自国でユーザー数を拡大させ、さらに海外にも展開し始めています。これらの企業が決済・送金サービスで大勢のユーザーを集めれば、そこに新しいサービスが花開きうる。フェイスブックにとっては将来の競合にもなりかねません。潜在的な競合に対抗する意味でも、リブラで決済・送金をやる価値があるのです。

インドのフィンテックスタートアップ・ペイTMは、農村部の女性や貧困層などに浸透しつるあるインドのフィンテックスタートアップ・ペイTMは、農村部の女性や貧困層など、これまで銀行口座を持てなかった層にも浸透しつつある 写真:ペイTMの公式フェイスブックより