利下げに踏み切った理由には、中央銀行の発想として、「利下げが妥当と判断された場合、動くなら早く動く」という判断が働いていることもあるだろう。また、市場が利下げを織り込んでしまった以上、対応しないことのリスクが大きいことも事実だ。

 トランプ大統領の介入が影響したのかどうかは、確かめることは難しいが、ツイッターなどを通じての度重なるFRB批判や利下げ要求は、歴代大統領と比べると異例ともいえる。

 独立性が担保されている中央銀行にとっては、政権の介入を受け入れた印象をもたれるのは避けたいところだが、市場がトランプ流に対してFRBが何らかの対応をせざるを得ないことを見越してしまっている以上、これまた市場の予想に完全に背いてしまうことのリスクをFRBも意識せざるを得ない、といったところだ。

 大統領の言うことに完全に従ってしまうと最適な金融政策をとれず、独立性および信頼性が損なわれる。他方、完全に背くと市場の反応が望ましくない。ということで、「緩和的になり過ぎない利下げ」という苦肉の策をとったということだと思われる。

 これまでもトランプ大統領は、ドル高に対して難色を示してきた。今回のFOMCの決定やパウエル議長の記者会見の発言を受けて、為替市場はドルが上伸した。

ドル高になれば
さらなる緩和圧力も

 足元の経済はそこまで悪くなっているわけではないこともあって、FRBは小出しに、しかし早めに対応したわけだが、今後のドル高の進み具合によっては、再度トランプ大統領がFRBに緩和の圧力をかけることはあり得る。

 市場では、FRBが2020年にかけて、0.25%ずつ計4回程度の利下げをすることまでは予想されているが、米中貿易戦争の長期化やイラン情勢などの新たな展開次第では、利下げはそれでとどまらない可能性も考えられる。