2016年度と2017年度の決算でも、アントラーズは営業収益、当期純利益、純資産の3部門でJ1のベスト3入りを果たしている。例外は2017年度の当期純利益で、ワースト2位となる約1億3800万円の赤字を計上した理由を庄野社長はこう説明する。

「優勝すれば(賞金や分配金が)たくさん入ってくることを考えれば、当然ながら変動します」

 J1連覇を目標に掲げて、2017シーズンは積極的な補強を敢行した。MFレオ・シルバ(アルビレックス新潟)、FWペドロ・ジュニオール(ヴィッセル神戸)、GKクォン・スンテ(全北現代)を完全移籍で、MFレアンドロ(パルメイラス)を期限付き移籍でそれぞれ獲得している。

 アントラーズの強化の最高責任者を1996年から務め、国内外で通算20個ものタイトルを獲得する常勝軍団へ育て上げた鈴木満常務取締役強化部長が、大型補強の理由をこう語ったことがある。

「次のシーズンで優勝すれば理念強化配分金が入ってくるし、そうなればまた投資が可能になるいいサイクルが生まれていく。勝ち組と負け組がはっきりと分かれてくる意味で、次のシーズンの結果が非常に大事になる」

 鈴木常務取締役が言及した理念強化配分金は、J1の上位4チームを対象として2017年に新設された。優勝チームには、翌年からの3年間でトータル15億5000万円が支給される。同時に優勝賞金も1億8000万円から3億5000万円へほぼ倍増している。

 2017シーズンは勝てば連覇が決まった最終節でまさかの引き分けに終わり、川崎フロンターレの逆転優勝をお膳立てしてしまった。先行投資となった大型補強に伴って増えた支出が収入を大幅に上回ったため、当期純利益だけは赤字を計上してしまった。

 しかし、積極補強に動いたのはアントラーズだけではない。理由はライブストリーミングサービスのDAZN(ダ・ゾーン)を提供する、イギリスの動画配信大手パフォーム・グループとJリーグが締結した、10年総額2100億円の巨額な放映権料契約がこの年からスタートしたことに行き着く。