世界の公共放送の多くは
広告収入も得ている

 それでもカネがないと騒ぐなら、個人的には「広告営業」を解禁してもいいと思っている。世界的に見れば、フランスやドイツなど公共放送の多くは広告収入も得ているし、NHKが何かにつけて引っ張りだすBBCも、子会社の商業サービス収入が2割を占める。NHKの報道姿勢を「偏向」と叩く人々がいるように、メディアの中立と広告はあまり関係ない。広告が入っても客観的な報道をするメディアもあれば、広告に依存しなくても偏向報道するメディアもあるのだ。

 いずれにせよ、ネットTV、ネットニュース、BS・CS放送などなど、これだけ無数のメディアや娯楽が溢れる中で、日本人全員が視聴して、老若男女みんなで楽しめる「みなさまのNHK」というのは、もはや成り立たない。連続テレビ小説も、大相撲中継も、紅白歌合戦も興味がない、という日本人が山ほど増えているのだ。災害報道やニュースにしても、NHKだけを見ていれば安心というものでもなくなっている。

 他の先進国ではあり得ないほどのスピードで進む人口減少と高齢化の中で、「受信料に依存する公共放送」という体制を、あらためて見直すべきではないのか。

 実はこのあたりは、心あるNHK職員の多くが、もう気づいている。例えば、先月の「おはよう日本」の中で人口減少問題を扱ったコーナーがこんな風に締められていた。

「これまで当たり前のように受けてきた行政サービスを、これからは命に関わるような必要不可欠なものと見直しができるものを私たち自身が選択していく、その岐路に立たされているのではないでしょうか」(おはよう日本 7月13日)

 こんなことを言われたら、小学生でも「お前が言うな」とツッコミを入れたくなる。経営幹部への面当てというか、確信犯的なブーメランに違いない。たぶん。

 NHKには、まだこういう良心を持った人がたくさんいる。経営幹部はぜひこの言葉を胸に刻んで、国民から当たり前のように徴収している受信料制度が岐路に立たされていることを自覚して、「みなさまのNHK」なんておごり高ぶった勘違いを見直していただきたい。