あなたの退職金と老後のおカネを守り、活用していく方法を紹介する「退職金と守りの老後運用術」特集(全9回)。第6回は外貨建て保険が資産運用に不向きなことを説明した。第7回は、虎の子の退職金を守りながら手堅く運用するための具体的な考え方や実践に向けた方法を紹介していこう。(「週刊ダイヤモンド」2019年7月27日号を基に再編集)。
「金利が低過ぎる」──。ダイヤモンド編集部が行った読者への独自アンケートで、退職金による資産運用の結果に「不満」と回答した人の多くの意見が、低金利環境への不満だった。
1039人の有効回答数のうち422人(40.6%)が退職金で資産運用を行ったと回答。3分の1の人が「満足」とする一方、4分の1超が「不満」、残り4割の回答者も満足には至っていないとの結果が出ている。
確かに、最近リタイア層となった世代の感覚からすると、近年の歴史的な低金利には納得がいかない向きが多いようだ。
「私がマイホーム購入を考えた30代のころは住宅ローン金利が7~8%ほどあり、2000万円借りると5000万円は返さなくてはならなかった。今より働き方もハードな中で何とか返済し、いざ定年で退職金を運用に回そうとしたら、今度は低金利でろくな運用先がない。そんな世間の流れには大いに不満ですよ」(2017年に定年退職した東海地方の地方銀行OB)との意見は、同世代の多くの声を代弁しているのかもしれない。
一方で退職金の運用結果に「満足」と回答した人には、12年ごろからのアベノミクス相場の恩恵を受け、株式投資などで成果が出たことを挙げる声が散見された。
とはいえ、運用をなりわいとするプロでも、市場で必ず勝ち続ける人など存在しない。そして現在は、多くの回答者から上がった「低金利で安心して投資できる先がない」との懸念の声もまさにその通り。こうした環境は当面続く可能性もあるだけに、ここは割り切って、虎の子の退職金を守りながら手堅く運用する方法を考えることに意識を向けた方が得策だ。
その上で、退職金の運用先としてまず初めに考えたいのが、「定期預金」だ。アンケートでも、退職金で運用した人の56.6%が活用する最多の運用先となっている。