記事バナー 第2回

星野リゾートの経営を深掘りする「星野リゾート 異端の経営」特集の第2回。時にホテル業界の常識を覆す手段で合理化を追求することで、同社は規模拡大を続けてきた。象徴的な7つの数字を通して、星野リゾートの成長の軌跡を追った。(ダイヤモンド編集部 相馬留美)

10年で従業員は倍増

 ラグジュアリーホテルといえば、豪奢で慇懃、そしてスタッフ1人1人がその道のプロを目指している――。そんなイメージがあるのではないだろうか。

 「そういう“高級ホテル”が好きな人は、だいたい星野リゾートが嫌いですよ」とある旅行ジャーナリストは苦笑いする。なぜなら、星野リゾートは合理性を追求したホテルだからだ。

 例えばフロントや調理補助といった専門業務一本を極める社員はいない。フロント、ダイニング、調理補助、客室清掃の4業務をこなせる「マルチタスク」が求められる。また、料理も一定のクオリティを保てるが、オリジナリティがなくなるセントラルキッチンを採用している。

 こうした従来は縦割りだったホテル業務の常識を見直し、星野リゾートは差別化を図ってきた。これは一朝一夕にできた仕組みではない。

 1991年、創業家ながら父の同族経営的なやり方を否定した星野佳路が代表となって以来、小規模組織となるユニット制の導入や、人事やシステム、マーケティング人材の採用など、合理化を進めてきた。

 合理化で規模を拡大してきた星野リゾートを、7つの象徴的な数字から解説しよう。