欧州は南北双方で政治の混乱期に突入している。英国とイタリアのカリスマ的な右派政治指導者は、欧州連合(EU)との衝突をもたらす危険な権力拡大を目指している。こうした動きは両国経済を混乱に陥れ、すでに停滞している欧州の成長も阻害する恐れがある。英国のEU離脱(ブレグジット)期限は10月末に設定されている。離脱が混迷を極めるリスクが影を落とす中、世界5位の規模を誇る英経済は既にマイナス成長に転じた。9日発表された4-6月期(第2四半期)の英国内総生産(GDP)は年率0.8%減少。企業信頼感の落ち込みが響いた。英国のマイナス成長は2012年以来だ。ボリス・ジョンソン首相が10月31日に断固としてEUを離脱すると表明したことで政局も揺れる中、弱い統計発表を受けてポンドは一時、数年ぶりの安値に沈んだ。