一方で、公務員による公務員バッシングには実益は存在しない。せいぜい一部の人間の憂さ晴らし程度だろう。それにもかかわらず、多くの役所で公務員による公務員バッシングが横行している。公務員が同僚の足を引っ張る構造により、短期的には職員の平均的なモチベーションが低下し、業務の質が低下する。長期的には、採用や育成に支障をきたし、組織の成果に悪影響を及ぼすだろう。

 多くの自治体が採用に苦慮しはじめている状況だが、こうした組織環境が広く知られるようになれば、優秀な人材の採用は一層厳しくなるだろう。

 ちなみに、筆者が取材した首長が、口を揃えて言うことがある。それは、上記のような役所の組織文化を危惧して、人事制度や風土の改善について選挙で問うても、有権者には響かないということだ。しかし、やがてその状況は変わるだろう。もし、役所の不毛で陰湿な側面が組織の成果達成を妨げ、市民に不利益を生じさせているとわかれば、いずれ市民はその改善を求めることになる。

バッシングする者は自らの首を絞めている

 サービスを享受する有権者側の志向は多様化している。役所のようなサービス提供側は、これまでより広く、より深いサービスを提供しなければならない。こうした状況にあって、組織が成果を生み出すうえで重要なのは、いかに個人の能力を発揮させられるかという点だ。それにもかかわらず、組織内で目立つ者を叩く文化が蔓延していることは不幸以外の何物でもない。

 地方自治法第2条には、「最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない」と掲げている。しかし役所には、努力をする職員が安心感を得ながら邁進できる環境を、自壊する側面がある。公務員個人の活躍を阻害する文化や慣習は見つめなおすべきだろう。同僚同士でいたずらにモチベーションを下げるような安易なバッシング、揶揄、言動は意識的に慎むべきだろう。