“世界一厄介な課題”と言われる「宇宙ゴミ(スペースデブリ)」に挑む日本人起業家がいる。アストロスケール創業者兼CEO、岡田光信さんだ。2013年、資金も人脈も技術もない40歳が始めた「無謀な挑戦」は、たった6年で150億円を超える資金を調達して独自技術と世界初のビジネスモデルを構築し、さらに2020年の半ばにはスペースデブリ除去実証衛星の打上げも控えている。そんな“宇宙起業家”が自身の思考の原則を初めて明かした『愚直に、考え抜く。』から、反響の大きかったノウハウをご紹介する。今回は、岡田さんがセールスフォース社CEOマーク・ベニオフ氏に学んだ、思考をクリアに保つ方法を明かす。

マーク・ベニオフが今も徹底している基本動作とは

 セールスフォース(Salesforce)社は、世界で最も伸びている会社のひとつで、時価総額はわずか20年で10兆円を超えた。クラウドという言葉が生まれる前からクラウドサービスを行っていた。ご存じの方も多いだろう。

 アストロスケールは、世界経済フォーラム(World Economic Forum。別名ダボス会議)において、2017年にTechnology Pioneerという、世界のビジネスと社会を変革する会社のひとつに選ばれた。選ばれるのは世界で20社程度なので光栄なことだった。

 その縁で、2018年1月に、セールスフォース社CEO(当時)のマーク・ベニオフ氏とダボスで会うことができた。そのときの会話が印象に残っている。

 彼は今でも、毎月、何を実現すべきか鏡に向かって問うているという。声に出して言う。そしてその実現のために、自分は何をしなければならないのか、また言葉にする。何度も言葉にすることで、そしてそれを鏡の中の自分に向かって言うことで、「crystal clear(=一点の曇りもない)」な状態にしているとのことだった。

 マーク・ベニオフともあろう人が、今なお、その基本中の基本を徹底していることに感銘を受けた。彼が自分を超えつづけられる理由は、ここにあるのだろう。