この2つの問いに、5秒で答えられるか?
「あなたなりの『あるべき姿』はなんですか」
「あなたは人生でどんな課題にケリをつけますか」
この2つの質問に、自信を持って5秒ずつで答えられるようにしてみるといい。声に出して、脳に響かせるのだ。そして一点の曇りもない状態にする。
「あるべき姿」が明確になれば、それと現実のギャップが「課題」である。課題を特定することもまたひとつの難作業である。
はっきりと口に出さず、頭の中だけで、「あるべき姿」や「課題」を定義しても、脳の中のおぼろげな言葉に過ぎない。さまざまな思いが交錯して、そのおぼろげな言葉のまわりに心配や不安、「やめたほうがいいんじゃないか」という思いが付帯しているだろう。だから、声に出すのだ。声に出すことで、雑念が飛ぶ。脳に響かせることで、明確に「あるべき姿」と「課題」だけが浮き彫りになる。
「あるべき姿」からの逆算で、思考はクリアになる
有名な話がある。1961年、ケネディ大統領がNASAを訪問した際に、清掃員の男性に何をしているのかと尋ねたら、
「大統領、私は人類を月に送るお手伝いをしているのです!(I'm helping put a man on the moon!)」
と答えたのだ。なんと清々しいことか。彼は自分の目的をはっきりと理解していた。
彼はこの言葉を初めて言ったのではないと思う。何度も頭の中で反芻し、そして言葉に出していたのだと思う。
私は、宇宙にはスペースデブリ除去サービスがあるべきだと考えた。高速道路の故障車に対してはJAFがレッカーサービスを行っている。そのために、レッカーという技術、ルールなどがあり、警察があり、保険というお金が回る仕組みもある。宇宙の高速道路は、衛星軌道にあたる。だから、私は宇宙の持続的な利用のために、スペースデブリ除去サービスを展開すると決めた。
「私がやるべきことは、Secure long-term spaceflight safety.」
これを、鏡の前でこそないが、何度も唱えてきた。私の進むべき道は、これではっきりとしたのだ。