茶色いだけで炭水化物の塊
「全粒粉もどき」に要注意!

 しかしながら、その茶色い炭水化物の「茶色」自体が怪しいというケースもあるのです。

 たとえば、よく見る「二八そば」は、小麦粉などのつなぎ2割、そば粉8割でつくられています。そば粉だけではどうしてもぼそぼそとした仕上がりになってしまうため、高級店でも二八そばが多く用いられています。

 ところが、安いチェーンのそば店などでは、この割合が逆転します。ほとんど小麦粉のそば(もはやそばとは言いがたい細いうどん)を出しています。つまり、それは白い炭水化物なのです。

 にもかかわらず、あるチェーンのそば店には、メニューを展示した看板に「おそばを食べても太らない」と書かれていました。おそらく「茶色い炭水化物ならいいのではないか」と考えている人の心理につけ込んでいるのです。

 しかも、その書き込みのすぐそばにある見本はコロッケそばなのだからあきれてしまいます。ジャガイモのコロッケを載せた小麦粉たっぷりのそばは、まさに白い炭水化物の塊です。ランチにしょっちゅう食べていたら間違いなく太るでしょう。

 このほか、全粒粉パンについても注意が必要です。100%全粒粉でつくられているのか、全粒粉が含まれているだけなのか。そのあたりの表示義務がまだ曖昧なため、うっかりしていると、「ほとんど白い炭水化物の全粒粉パンもどき」を食べる結果になります。

 ちまたに溢れる、こうした商業主義に踊らされないように注意してください。

(この原稿は書籍『医者が教える食事術2 実践バイブル――20万人を診てわかった医学的に正しい食べ方70』から一部を抜粋・加筆して掲載しています)