子どもたちは並行して、大学生サポーターとの1対1の人間関係を育み、次いで子どもたち同士の横の関係を育む。子どもたちと家庭が直面している様々な課題や困難に対しては、福祉事務所、勉強会を運営する事業者、大学生サポーター、役所の関連部署などが連携して支える。

 勉強会の6年間の歩みがまとめられた報告書には、子どもたちが自分自身と他者と社会に対する信頼を獲得し、驚くほどの成長を見せ、学力を向上させる様子が、数多く示されている。感じ方や意欲が変化していく様子は、大阪府立大学による研究で、数量化を含めて詳細に分析されている。

 もちろん、学力や学業遂行に好影響を与えることも期待できる。たとえば東淀川区の生活保護世帯の子どもたちの高校中退率を見ると、勉強会が発足する2年前にあたる2011年度の8.7%から2017年度の3.97%まで、50%以上の減少となっている。効果は明白だ。

人道的見地からの「投資」は
最も合理的かもしれない

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 現在、勉強会の予算規模は、年間約860万円となっている。2015年以後は、生活困窮者自立支援事業の学習支援と位置づけられ、費用の50%は国が負担している。勉強会は、40人の子どもたちを対象に週2回開催されており、食事も提供している。委託を受けている「淡路プラッツ」は、青少年を幅広く支援してきた実績がある地元の団体なので、子どもたちの成人後も頼りになる。

 しかし、予算は単年度だ。学生サポーターなどスタッフの翌年度の処遇は、年度末まで確定しない。また、自治体の財政規模によっては、50%といえども厳しい負担となり得る。「国はせめて75%の負担を」という声もある。学力や進学に注目する視点からは、「民間の学習塾業者に委託する方が効率的だ」という判断もあるだろう。

 ともあれ日本は、国内の「しんどい」子どもたちを費用面で具体的に応援することで、損はしない。まず「しんどい」状況の子どもを人道的に支えることは、すべての子どもの能力を多面的に伸ばすことにつながるだろう。これほど効果の確実な投資が、他にあるだろうか。

【参考】

大阪市東淀川区:東淀川区中学生勉強会 事業報告書について

(フリーランス・ライター みわよしこ)