「でもやはり、インターナショナル・リンクの主張はおかしい。彼らは表面的なものしか見ていない」
「その代わり、客観的に見てる。数字と点数化された状況のみで判断してる。主観はほとんど入らない。いや、入れないのね」
「そんな彼らも日本の戦後復興には驚いてる。阪神・淡路大震災、東日本大震災からの復旧、復興についてもです。数字には表れないものがある。彼らに日本のそれを見てほしい」
「会って直接話すことね。CEOにでも話すと、ひょっとして何とかなるかもしれない」
森嶋は一瞬考えた後、携帯電話を出してボタンを押した。言い出した理沙が何をしてるという表情で見ている。
二度目の呼び出し音で、ダラスの声が聞こえた。
森嶋はロバートの名前を出して、彼と一緒に葉山で会ったことを告げた。
〈覚えていますよ。ロバートは元気ですか。中国に行くと言っていたが〉
「あなたは、またお会いしましょうと言ってくれました。そのチャンスを今いただけませんか」
ダラスの驚く気配が伝わってくる。
しかしすぐに、ホテルの喫茶室の名が返ってきた。
〈私は1時間ほどここでお茶を飲んでいます。もしこの時間帯であれば――〉
「すぐにお伺いします」
森嶋はダラスの言葉を最後まで聞かず携帯電話を切った。