飲み下しがたき妻の同窓会
機嫌を損ねる夫の風景

 目撃談の中で1番多かったのは「夫の機嫌が悪くなる」であった。妻たちは夫の変調を発見し、そのことによって自分の同窓会参加が夫の心を乱していたことを知るのである。

「帰ってからしばらく口をきいてくれなくなりました。そんなに浮かれていたつもりはなかったけど、そういうふうに見えていたのかな?」(Aさん/34歳女性)

「無口だけど物音が荒くなって、『ああ、いつもの不機嫌なときのパターンだ』と。私にはいいが子どもの前でも平気でその調子なので、それを控えてほしいと伝えるとどこかに出ていってしまった」(Bさん/37歳女性)

「帰宅すると在宅していたはずの夫がいなくなっていて、スマホでどこにいるか尋ねると『外。食事も外で済ませる』と返ってきて、私と距離を取りたいのがあからさまだった。夫をつまらない気分にさせてしまった申し訳なさと、たまの同窓会なんだからそれくらい大目に見てくれたってという思いが混ざって複雑な気分に」(Cさん/39歳女性)

 1人の人間の“機嫌が悪いときのパターン”は大体決まっているので、結婚生活を少し重ねれば互いのそれを把握できる。如実にわかる不機嫌が同窓会帰宅後の妻に浴びせられているのだから、妻はそれと気づく他ない。

 夫らが妻に不機嫌を伝えるつもりでそうしているのか、または胸中悟られないようにしようと努めつつ残念ながら不機嫌が漏れ出てしまっているのか。どちらにせよ少なくとも妻は夫の不機嫌を十二分に承知しており、それによって申し訳なさや不満を内心募らせる。無言の夫婦ゲンカのようなものである。

 なお、Aさんからはこんな感想があった。

「普段夫は私になんの興味も示さないマシーンのような人で、最近は夫に異性として見られない自分を受け入れつつありました。『それも仕方ないのかな。そういうものなのかな』と。

 けれども同窓会きっかけであんな反応を示す夫を見て、『私になんの関心もないわけではない』ということがわかって、それが本当に意外な発見でした。まあそれを思えば、夫の無口の不機嫌もかわいいものです」(Aさん)