ダイヤモンド社の書籍編集局では、いま中途採用で編集者を募集しています(詳しい募集要項はダイヤモンド社の採用情報ページおよび「マイナビ転職」をご覧ください)。
そこで、近年ダイヤモンド社に転職してきた編集者たちに、職場の雰囲気、仕事内容、一緒に働きたい人材像などについてインタビューしました。ホンネ炸裂のトークをお読みいただき、我こそは!と思われた編集者の皆さまは、ぜひともご応募ください。応募〆切は「2021年5月31日(月)」です。
本記事では、ダイヤモンド社で新たに児童書ジャンルを切り拓いた編集者・金井弓子が、こだわりの編集者から超こだわりの編集者に変貌したエピソードなどを紹介します。
(→他メンバーのインタビュー記事および座談会記事も是非お読み下さい!)
ダイヤモンド社を選んだ4つの理由
金井弓子(かない・ゆみこ)
大学卒業後、他の出版社を経て2016年入社(入社時27歳)。担当書籍は『楽しくわかる!体のしくみ からだ事件簿』『せつない動物図鑑』シリーズ、『東大教授がおしえる やばい日本史』シリーズ、『だれかに話したくなる あやしい植物図鑑』『わけあって絶滅しました。』シリーズなど。
──金井さんは2016年入11月入社なので、4年を過ぎたところですね。ダイヤモンド社に転職しようと思ったきっかけは何でしたか?
金井弓子(以下、金井) 私って実はすごく就労意識が薄くて飽き性なんです(笑)。自分がある日突然働かなくなるんじゃないかとけっこう心配で。それで気軽に転職できる30歳を前にして、この先も飽きずに働ける環境に身を置こうと考えました。その結果、ダイヤモンド社に決めた感じですね。
──あれほど仕事熱心なのに就労意識が薄いとは意外ですが(笑)、その条件で探してダイヤモンド社を選んだ理由をもう少し詳しく聞かせてください。
金井 理由は4つあって、まずは企画の自由度が高そうという点です。私はもともと出版社の求人情報オタクで、どの出版社がどんな求人を出しているか調べるのが大好きなんです(笑)。その調査のなかでダイヤモンド社は企画の幅が広いし、女性実用の本が急に出たりしたのは新しく編集者が入ったからだと分かったので、いろいろな企画を自由にやらせてもらえそうと感じました。2番めはスゴ腕の編集者がたくさんいるので経験を積むうえで勉強になりそうという点。3つめは、これは以前の会社もそうだったんですが、営業が本を頑張って売ってくれることです。最後はちょっと言いにくいんですが、お給料が安定しているところ……。これって、みなさん気になるところだと思うんです(笑)。
──なるほど、しっかり事前調査していたんですね。外部から見てダイヤモンド社の営業は強く見えましたか?
金井 営業力の強さは書店の棚を見ればけっこうわかります。ダイヤモンド社の本はきちんと良い場所に平積みされていますし、新規参入した女性実用書もしっかり平台を取れていました。新聞広告も定期的に打っているので、自分のつくった本をちゃんと売ってもらえそうだと思いましたね。前職も営業力が非常に強い会社だったので、その大切さは実感していました。だから営業が強い会社というのは必須条件だったんです。
──4つのうち最も大きな要因となったのは何ですか?
金井 企画の自由度です。好きな本をつくらせてもらえそうだったのが大きいですね。私は役に立つ実用的な本より、楽しさとか教養の部分に興味があって児童書をつくってきたんですが、たぶん年齢を重ねるとつくりたい本が変わっていくと思うんです。興味とか感覚が変わって別の分野にチャレンジしたくなったときに、なるべく制約がないほうがいいなと思って。その点、ダイヤモンド社はビジネス書はもちろん実用書や教養書、人文書や小説まで幅広く出せるから魅力的だなぁと。
──実際に入社して自由度はどうでしたか?
金井 すごく自由で、いい意味でも悪い意味でも超自己責任だなと(笑)。もちろん自由なのは素晴らしいことなんですけど、一方で恐ろしいなと思うこともあって。編集者のやりたい企画を尊重してくれて、絶対にやりたいと言えばほぼ任せてもらえます。企画が走り出したあとは、内容に口出しされることもほぼありません。とにかく自由度が高い。ただその反面、全部自分がやったことなので、もし売れなかったら他者のせいにできないわけです。そのへんは大変ですが、ほどよい恐怖はほどよい刺激にもなるので(笑)。
同僚編集者との
マニアックなコミュニケーション
──職場の雰囲気はどうですか?
金井 転職してすごく驚いたのが、職場がめちゃくちゃ静かなこと。別に仲が悪いとか雰囲気が悪いわけでは全然なくて、そもそも皆が外に出ていてフロアに人が少ない(笑)。時間の使い方も自分の裁量でほぼ決められます。ずっと外で打ち合わせとか、デスクでひたすら原稿整理とか。会議にはきちんと出るという最低限の前提があったうえで任せてもらえるので、すごくやりやすい環境ですね。
──では、編集者同士のコミュニケーションはどうですか? 静か過ぎてちょっと寂しいとかありません?
金井 いやぁ、あんまり寂しくないかも(笑)。静かとはいえ、実際に雑談をしてみると、みんな本当に編集オタクなんですよ。たとえばすれ違いざまに「今回の新刊の箔、めちゃくちゃ良くないですか?」みたいに、いきなり本づくりの話で盛り上がる(笑)。「最近、出会いあった?」的なプライベートな雑談は正直少ない職場だと思いますけど、相手の新刊に対する感想とか、他社の新刊情報とか、紀伊國屋PubLineの見方とか、そういう編集ネタ・仕事ネタで盛り上がれるのは楽しいですね。居心地いいです(笑)。
入社して学んだ
本づくりへの超こだわり
──ではダイヤモンド社に入って学んだこと、成長につながったことは何ですか?
金井 色々あるんですけど、やはりすごい編集者たちからの学びは大きいですね。そのジャンルで一番売れている本をつくっているような同僚がたくさんいるので、その人たちに直接いろいろ聞けるのはありがたいです。社内勉強会も、自分でやったり同僚がやってくれるのに参加したりして非常に貴重な学びの場になっています。編集の細部って他社の人にはあまり聞けませんけど、それを気軽に教えてもらえるのはラッキーだなと。
あとは私が所属する第1編集部がやっている「本トレ」(週1回行う部内の勉強会)への参加はすごく大きいです。書籍づくりの基礎を学ぶ場なんですけど、勤務時間中にそういう時間を取ってもらえるのはすごくありがたい。基礎といっても技術論を学ぶわけではなく、売れる企画のコンセプトを分析して学ぶ感じです。私は「前書きの型」の回から入ったんですが、それまで前書きを分析したことなどなかったですし、そもそもどういう視点で分析すべきかも分かりませんでした。「本トレ」のお陰で、売れている本を具体的に深く分析できるようになりました。表層をなぞるのではなく、根底にある要因を考えられるようになったと思います。
──そういう学びの影響で、具体的な本づくりは変わりましたか?
金井 周りの人が尋常でなくこだわって本をつくるので、私も前よりこだわるようになったなぁと(笑)。
──金井さんはもともと相当こだわっていると思いますけど(笑)?
金井 いやいや、私の直属上司の本づくりを見ていると、1週間くらいずっと帯のコピーを何バージョンもつくっていたりするわけです。机の上に置いてあるコピー案が日々変化していく。以前の私は帯コピーがそんなに重要とは認識していなかったんです。2〜3分でバーッと書いてデザイナーさんにご依頼する感じで。それが上司の影響を受けて、いまでは帯コピーに異常に執着して考えまくるようになりました(笑)。
それから、コストに対する考え方も変わりました。以前は決められた範囲でなるべく安くあげることを意識していました。ところがダイヤモンド社に来てみたら、みんなコストを遠慮せずにかけるなぁと(笑)。各編集者が、これがあったほうが読者が喜ぶと思えばけっこう英断してお金をかけるんです。読者オリエンテッドな感じで。その結果すごく魅力的に仕上がっている本が多いと思います。だから私も、『続 わけあって絶滅しました。』にポスターを付けてみたり、『も~っとわけあって絶滅しました。』に別冊を付けたりしてみました。節約してそこそこ売れるものをつくろうというより、必要なところにはコストを掛けて、より売っていこうという考えに変わってきましたね。
企画コンセプトを
徹底して考えることの大切さ
──入社してからの本づくりで、特にこだわった例を具体的に教えてもらえますか?
金井 『わけあって絶滅しました。』シリーズを3冊出したんですが、児童書では生き物を扱ったジャンルって類書がすごく多いんです。そこで抜きん出るために、まずイラストのタッチにこだわりました。これまではシンプルな線画調のイラストが市場のメインだったので、読者が見たことがなく、かつ魅力的に感じるものということで油絵調のこってりしたタッチの絵のイラストレーターさんにご依頼したんです。
また「絶滅」というテーマは暗くなりがちなので、そこをカバーするために一人称で自分語りをする構成にしました。一方、『やばい日本史』『やばい世界史』では、著者やデザイナーさんと知恵を絞り「すごい」と「やばい」の二項対立が前面に出るデザインを実現して書名と呼応させました。これらはいずれも、企画のコンセプトに連動した新たなフォーマットを発明した本だと自分では思っています。
──コンセプトを徹底的に考え抜いて、それに合わせて新たなフォーマットを創造していったと?
金井 そうですね、本トレで学習したこともあって、コンセプトをしっかり立てて、企画の筋を通すことをすごく重視しています。書名と中身がピッタリ合っていることが本を買ってもらうためには重要で、それがスキなくできている本を目指そうと。そこはダイヤに入って強く意識するようになりましたね。
──ダイヤモンド社では、編集者の目標は刊行点数ではなく売上金額です。金井さんはじっくり時間をかけて本をつくるので点数は少なめですが、それゆえに外せないというプレッシャーはありますか?
金井 それはありますね(笑)。加えて、児童書は初期コストがめちゃめちゃかかるので、重版しないと正直お話になりません。背水の陣という感じです(笑)。とはいえ、私は年間10点とかどうしてもつくれないタイプなんです。考えるのがあまり早くないというか、効率的に仕事ができないというか。その分ゆっくり考えてつくるのは得意で、1週間くらい掛けて考えるとけっこう良いアイデアを思いつくんです。つまり自分としては、時間を掛けることと良いものができることには相関関係がある。なので、画一的な刊行点数ノルマが課されず、各人の裁量に委ねられているのはとてもありがたいですね。
ビジネス書以外の分野の編集者も
安心してチャレンジして欲しい
──では最後に、どんな人に入社してほしいか教えて下さい。
金井 すごく自由な職場で自由にやらせてもらえる一方、かなり編集が好きじゃないと厳しいかもしれません。さっき言ったように編集の話で雑談が盛り上がったりするので、編集マニアでないと(笑)。また、これをやりなさいと言われることがほぼないので、自分でやりたいことがないとツラいでしょう。やりたいことがあって、企画を積極的に追い求める熱意を持った人にはピッタリかと。本をつくるのに最も良い環境を整えようと会社側が努力しているので、すごく働きやすいと思いますよ。
──ジャンル的にはどうですか? これまでダイヤモンド社にはなかったジャンルの編集者にも来て欲しいと思っているんですが。
金井 ビジネス書以外のジャンルを攻めている人は不安かもしれませんが、その点は心配しなくても大丈夫。やったことのないジャンルでも企画会議で頭ごなしに否定とかは絶対にされません。私も児童書の企画を出すとき不安でしたが、最初からすんなり通って驚きました。普通に売れる本をつくってきた人たちが、売るために有意義なアドバイスを親身にしてくれます。
あとは営業が新ジャンルを売るときに綿密に準備をしてくれる点も心強いです。配本前に取次さんや書店さんの本部と部数交渉してくれたり、そのジャンルについて他版元の方にまでヒアリングして販売方法を研究してくれたり。『わけあって絶滅しました。』第一弾のときは、ゲラを読んで面白いからと部数を増やしてくれました。未経験ジャンルなのにゲラで面白さを分かってくれるというのは本当にすごいと思います。
──ビジネス以外の分野の本でもダイヤモンド社の営業はしっかり売ってくれるはずだと。
金井 はい。そういう不安を抱いている人には、私は全然困ったことがないとお伝えしたいです。
あとは、いまは児童書を1人でつくっていてちょっと寂しいので、この分野の編集者さんに来てもらいたいですね。フリー・レイアウト本の構図とかラフについてマニアックに語り合いましょう(笑)。最後に、ダイヤモンド社はちょっと年齢層が高いので、若い人に是非来てもらいたいです!(笑)。
(終わり)
※具体的な募集要項はダイヤモンド社の採用情報ページをご覧ください。また「マイナビ転職」にも詳しい情報が掲載されています。
※本記事以外にも、書籍編集部メンバーのインタビュー記事や座談会記事がお読み頂けます(記事一覧はこちら)。いずれも、職場の雰囲気や仕事内容を本音炸裂で語っています!