「オーナー企業大国」の日本において、最強のオーナー企業は――。『ファミリービジネス白書2022年版』のデータを基に、上場オーナー企業「1580社」の直近本決算の「売上高」「営業利益率」「総資産事業利益率(ROA)」「自己資本比率」「流動比率」を偏差値化してランキングを作成した。特集『オーナー企業ランキング2024年版 上場1580社の全序列』の#12は、サービス業156社の業種別ランキングをお届けする。19位にセコム、3位に山田コンサルティンググループが名を連ねた。果たして1位は?(ダイヤモンド編集部 下本菜実)
凶悪犯罪の急増でセコムの業績が好調
サービス業のオーナー企業ランキング
近年、急増しているのが「闇バイト」を使った凶悪犯罪だ。多くの事件で実行犯は、SNSやインターネットの掲示板を通じて「短時間で高報酬を得られる」などの甘い言葉に誘い込まれ、強盗などに手を染めている。犯罪組織にとって実行犯は使い捨てで、故に強盗の手口は荒く、住人が在宅中であっても家に押し入り、暴行を加える事件も目立っている。
世相が業績に反映されたのが、防犯や警備に関連する企業だ。警備業界トップのセコムは2024年3月期決算で、売上高は前期比4.9%増の1兆1547億円、純利益は同6.1%増の1019億円となり、共に過去最高を記録した。業界2位のALSOK(綜合警備保障)も業績は好調だ。24年3月期の売上高は前期比5.9%増の5214億円、純利益は同14.1%増の273億円だった。
両社は共にオーナー企業だ。セコムは1962年に飯田亮氏と戸田壽一氏が創業。飯田氏は97年に取締役最高顧問に就任。22年に取締役退任後は顧問となっていたが、23年に死去した。死去するまで飯田氏は同社株式の約2%を握っていた。
ALSOKは65年に公安警察出身の村井順氏が創業。同氏の長男の恒夫氏が86年に、次男の温氏が2001年に社長に就任。現在も温氏が全株式の2.8%を握る。
では、両社も含まれるサービス業で最強のオーナー企業はどこか。ダイヤモンド編集部は『ファミリービジネス白書2022年版』のデータを基に、上場オーナー企業「全1580社」の直近本決算の「売上高」「営業利益率」「総資産事業利益率(ROA)」「自己資本比率」「流動比率」を偏差値化し、ランキングにした。
ランキングには「同族支配度」についても記載している。同族支配度について、本特集#2『「非上場化しやすい」オーナー企業ランキング【キャッシュリッチな全90社】15位乾汽船、2位北野建設、1位は?』で紹介したように、改めて説明しておく。
下表の通り、『ファミリービジネス白書』(白桃書房)を刊行している日本経済大学大学院の後藤俊夫特任教授らは、オーナー企業つまり同族企業の条件について「経営面」と「所有面」で分析。創業家による関与度によって、6段階に区分した。例えば、創業家から役員を送り出し、さらに筆頭株主であった場合は、同族支配度が最も強い「A」となる。
次ページでは、上場オーナー企業のうちサービス業156社の業種別ランキングを一挙に公開する。ランキングにはコンサルティング会社や警備会社、葬儀関連の会社などが上位に入った。