日韓激突!♯5:日韓2000人アンケート

日韓関係は修復が絶望的なレベルに達している。普段から仕事上で付き合うことが多い日韓のビジネスパーソン約2000人(日本人1030人、韓国人1030人)を対象にして、緊急アンケートを実施し、彼らの本音を浮き彫りにした。これまでメディアが報じてこなかった両国のビジネスパーソンの本音とは──。(ダイヤモンド編集部副編集長 浅島亮子)

日本人は韓国人の“二面性”を
理解していない?

 7月末、文在寅(ムン・ジェイン)大統領とは緊張関係にある韓国保守系の議員団が来日した。日韓の政府間対立があろうとも、議員外交のパイプは残しておくべきだとの考えから実現したものだ。

 ただし、経済産業省のある幹部は、「一昔前ならば、昼間はかんかんがくがくの議論でヒートアップしても、夜は酒を酌み交わすことができた。だが、今は親日派でもそんなことはあり得ない」とため息をつく。

 政財界では日韓共に、両国間のパイプ役となっていたキーパーソンが世代交代してきており、長年の日韓関係を踏まえた上で、現在の対立を解消する着地点を模索することが非常に難しくなっている。

 例えば、今から50年前に、三洋電機やNECが白黒テレビや真空管の分野で韓国に技術供与を行ったことについて、「口に出さないが、日本人には戦争の贖罪意識があった。だから助けるべきなのだと」と、ある日系メーカー首脳は振り返る。

 それから50年、韓国のエレクトロニクスメーカーが急成長し、日韓のビジネスにおける主従関係は逆転した。だが、幾たびも両国の政治的確執が浮上することはあっても、ビジネスでは日韓は強力なタッグを組んできたはずだった。

 しかし、今は政治的対立が経済の相互関係を崩してしまいそうな勢いである。

 ある財閥に属する韓国人ビジネスマンは、こう指摘する。

 「日本にも、本音と建前という言葉がある。韓国だって同じだ。日本の方は、韓国人の“二面性”についてあまり理解していないと思う」

 どういうことか。韓国では大統領の権限が極めて強く、「恐怖政治」ともいえる状況にある。「われわれが表立って政権を批判することはできない。文在寅政権が交代するまで待つしかないのだ」(同)。 強権政治の下では、韓国人は表の顔と裏の顔を使い分けて、面従腹背の態度を取るしかないというのである。

 しかし、である。政権が代わるたびに表向きの思想・信条すらリセットしなければならない韓国のビジネスパーソンに同情できるほど、日本人も寛容ではいられなくなっている。

 とりわけ、昨年10月に、韓国最高裁で日本企業に対し、元徴用工らへの賠償金の支払いを命じる判決が出たことで、日本人の対韓姿勢が変わってしまった。それまで、度重なる政治的衝突にも「政治とビジネスは別」と寛容な立場を取ってきたビジネスパーソンの態度が一変してしまったのだ。

 むしろ、キャリアも思慮分別もあるビジネスパーソンこそ、韓国政府の一挙手一投足にアレルギーがあるようだ。

 日韓対立の領域が「歴史問題」から「貿易」「安全保障」へと拡大するばかりで、対立の激化は収束する兆しが見えない。ビジネスで付き合うことも多いであろう両国のビジネスパーソンはこの“政治的不和”をどう考えているのか。ダイヤモンド編集部では緊急アンケートを実施し、彼らの本音に迫った。