メキシコのアンドレス・マヌエル・ロペスオブラドール大統領を支援する富豪が、汚職スキャンダルの渦中にある企業とつながりがあることが、内部文書や関係筋の話から分かった。銀行や放送局、小売りなど、巨大ビジネス帝国を築き上げた富豪のリカルド・サリナス・プライゴ氏は、肥料メーカー、グルーポ・フェルチナールの株式を大量に保有する欧州拠点の会社とつながっているとみられている。フェルチナールは2016年、負債の返済も含め、メキシコ石油公社(ペメックス)に6億3500万ドル(670億円)で売却された。政府の財政監視当局は売却額について、2億ドル近くかさ上げされていたとの判断を示している。ペメックスは、フェルチナールの価値水増しを知っていながら購入資金を提供したとして、アステカ銀行などを詐欺の疑いで検察当局に申し立てを行った。ロペスオブラドール大統領は3月、ペメックスの申し立てを受けて、売却に関する連邦捜査を発表していた。サリナス・プライゴ氏はアステカ銀行の過半数株を保有している。捜査の事情に詳しい筋によると、メキシコ検察はフェルチナール取得に絡み280万ドルの賄賂を受け取ったとして、ペメックスの元最高経営責任者(CEO)を収賄容疑で起訴する準備を進めている。これについては、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が先頃伝えた。