北陸といえば、世帯あたりの自動車保有台数が多いことで知られているクルマ社会。

 一般社団法人 自動車検査登録情報協会によると、直近の2019年3月末時点のデータで、自家用乗用車(登録車と軽自動車)の世帯あたり保有台数は、全国平均が1.052台。

 数値が最も高いのが福井県(1.736台)、次いで富山県(1.681台)、以下は山形県(1.671台)、群馬県(1.625台)と続く一方で、最も少ないのが東京都(0.432台)だ。

 こうした数字を見ると、富山と福井が率先して高齢ドライバー事故対策について取り組む姿勢を示すのは当然なのかもしれない。

福井県永平寺町の総務課の窓口に置かれた、限定運転宣言書の書式
福井県永平寺町の総務課の窓口に置かれた、限定運転宣言書の書式 Photo by K.M.

 特に福井県の場合、限定運転宣言書の記入が、県が行うアクセルとブレーキのペダル踏み間違いを防止する後付け安全装置の補助申請する際の必須条件となっているのが特徴だ。同様の補助事業を行う東京都の場合、補償運転に関する宣言書などの提出義務はない。

 では、どうして福井県は他地域に比べて一歩踏み込んだ試みを実施しているのか?

 福井県庁で、県安全環境部 県民安全課の中村英輔主任に話を聞いた(以下、インタビュー形式)。

福井県安全環境部 県民安全課の金谷一弘課長(写真左)と中村英輔主任
福井県安全環境部 県民安全課の金谷一弘課長(写真左)と中村英輔主任 Photo by K.M.

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――限定運転宣言書を導入した背景は?

 県内では2018年、高齢ドライバーが第一当事者となる交通事故が全体の約4割を占めており、全国的にみて割合が高い。また、県内の免許返納者数は平成26年(1033人)から平成29年(2674人)まで増えたが、平成30年(2609人)は微減に転じた。

――やはり福井はクルマ社会ということか?

 運転が不安ならば、免許を返納してほしい。だが、高齢者のみの世帯で、子どもに各所への送迎を気軽に頼めない状況にある方は、どうしてもクルマを手放せない。こうした高齢者が運転せざるを得ない状況を直視し、免許を返納してほしいと呼びかけてもその実現が難しいならば、交通事故のリスクを少しでも減らそうと考えた。