――薬局の数が多過ぎるという批判の声もあります。

 確かに約5.9万店の調剤薬局は、世界でも多いと指摘されています。コンビニよりも多いのですから、薬局はコンビニより便利な存在になれるはずで、もっと活用できると思うのですが。また薬剤師の数も人口比では多い。ですから、リソースは足りていて、それが偏在化しているのです。

 5.9万店が今後減少する、変わらないなど、さまざまな意見があるでしょう。ただ、今の場所のままではいけません。もっと地域に分散しないと、薬局として国民への責任が果たせない。

 こういう発言をすると、「また山本が薬局を減らせと言っている」と批判されます。ですが、私は「減らせ」ではなく、「局在化しない方がいい」と言っているのです。

――どういう意味でしょうか。

 以前、首都圏の薬局の位置を地図に表しました。すると、JR山手線や中央線、小田急線などの駅前に薬局が多く存在し、鉄道沿線から離れた住宅地はスカスカです。今後はそういう場所をカバーする分布が必要になるでしょう。

 そのときに5.9万店でいいのか。約20年前の試算では「3万店」という数字が出ましたが、例えば北海道と都市部では状況が違います。医薬品を供給するネットワークをどう組むのかが今後の課題となります。また夜間も5.9万店全てが営業する必要はない。地域で当番を決めて夜間に開業するなどの工夫もできるでしょう。

――医療費抑制のために、調剤報酬に厳しい視線が注がれています。

 調剤医療費が高いという批判があります。ですが、約4分の3は薬剤料。薬剤師の技術料は4分の1しかありません。調剤医療費が増えたのは、薬の値段が高くなっているから。1g100円の薬も、1g1万円の薬も、薬剤師の手間賃は変わらない。日本の調剤報酬は薬剤料に影響されない仕組みです。このことを切り離し、調剤医療費を減らせという議論がある。また、薬局が儲かっているから削れという批判は感情的です。

 それから、病院と薬局では、同じ調剤なのに薬局の調剤料の方が高いという議論もあります。ですが、薬局の調剤料には、入院したときに発生するような施設フィーが含まれていない。病院とは診療報酬の体系が違うので、同じような比較はできません。

 調剤報酬が誕生した1950年代と比べると、薬の形態は変わりました。粉薬や水薬などが錠剤などに変わり、確かに手間は減ったかもしれません。調剤料の概念も変わるでしょう。薬を扱うことから、服用する人のことを考えねばいけません。薬剤師の仕事はモノからヒト、薬の品質を担保しながら人に向き合うことがこれからの仕事になります。患者にどういう治療をしていくのか、薬剤師がそこにどれだけ貢献できるかが今後の課題になり、そのための診療報酬を確保していきたい。

やまもと・のぶお/1950年、東京都生まれ。73年、東京薬科大学卒業。81年、保生堂薬局に入局。98年、日本薬剤師会常務理事に就任し、2014年から会長。14~18年、国際薬剤師・薬学連合副会長を務める。

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