業界トップ2を抱えるも犬猿の仲 再編を主導できないイオンの憂鬱Photo by Satoru Okada, Bloomberg/gettyimages

ウエルシアホールディングス(HD)を子会社に持ち、他にも多くのドラッグストアチェーンに出資しているのが、小売業界の巨艦、イオンだ。非イオン系の1兆円企業誕生の可能性が高まる中、イオンの出方に注目が集まる。しかし、現状で業界首位のツルハHDなど傘下の“イオン系”ドラッグストアの統合・再編は容易ではなさそうだ。(ダイヤモンド編集部 岡田 悟)

 業界5位と7位による経営統合で、売上高1兆円のトップ企業が誕生する可能性が高まっている国内ドラッグストア市場。従来、1位と2位の座を激しく争ってきたのは、共に“イオン系”だった。

 2019年5月期決算で連結売上高7824億円と、初めて業界トップに躍り出たのが、札幌市に本社を置くツルハホールディングス(HD)だ。北海道と東北エリアでドミナント(集中出店)をしながら勢力を拡大。現在は沖縄県を含む全国とタイで店舗を展開する。国内店舗数は同期末で2082店舗とこちらも業界最多だ。イオンは13.06%を出資している。

 一方、18年2月期まで売上高で業界トップだったのが、ウエルシアHDだ。こちらはイオンが50%強の株を持つ子会社で、関東と中部、関西エリアの店舗が大半を占め、大都市に強い。

 今後、業界トップ2の統合が実現すれば、マツモトキヨシ(業界5位)とココカラファイン(業界7位)の1兆円連合への強力な対抗軸となるだろう。ただ、現時点で業界関係者は、その可能性は低いとみる。