トモズの德廣英之社長Photo by Takeshi Shigeishi

「週刊ダイヤモンド』9月14日号の第1特集は「薬局戦争」。今や6万店近くと、コンビニよりも多い薬局が転換期を迎えている。大手ドラッグストアチェーンの経営統合で、売上高1兆円の“メガ薬局”が初めて誕生したことで、本格的な薬局戦国時代に突入した。トモズは住友商事の100%子会社で、首都圏で約180店舗を展開する都市型ドラッグストアだ。総合商社のビジネス網を活用した独自の視点で調剤強化を目指すトモズの徳廣英之社長に、戦略を聞いた。(聞き手/ダイヤモンド編集部 重石岳史)

薬剤師の採用を強化し今年は64人
来年は100人、再来年は120人の採用目指す

──トモズが目指す都市型ドラッグストアの姿とはどのようなものでしょうか。

 トモズは1993年の創業当時から「かかりつけ薬局を目指す」という企業理念を掲げています。親会社の住友商事が医薬分業を見越し、欧米型の調剤併設型をやると決めたからでした。

 ただ当時のドラッグストアはディスカウント業態として国民に認知され、調剤事業は厳しかった。

 赤字の会社を黒字にするために化粧品の物販を始めましたが、そうなると若い女性がメインの客となり、なおさら処方箋が持ち込まれなくなる。「商社の道楽」とやゆされたこともあります。

 転機は2011年の東日本大震災です。不要不急のものが買われなくなり、消費者行動が変わりました。そのときにわれわれは、社会インフラとして調剤や医薬品を売るという原点に返ったわけです。看板の色を赤から青に変え、女性だけでなく老若男女が入れる店づくりを目指しました。

 18年度の売上高は755億円で、うち調剤は3割程度です。今年度の売上高目標は800億円。将来的には2000億円まで拡大し、そのときの調剤比率は5割にしたいと考えています。