そこで、野村證券の後輩である長谷川学さん(29歳)を誘って、共同でJapan Asset Managementという、IFAを通じた資産運用のコンサルティング会社を立ち上げた。
IFAに魅力を感じている証券マンは多い。事実、「証券会社は担当エリアが決まっていて、担当以外の顧客の相談に乗れないことにジレンマを感じていました」(吉田友哉さん、27歳、元野村證券勤務)、「野村證券にも転勤がなく働けるFAという職種があったが、IFAで金融業界を変えるという強い思いを持つ堀江の下で人生をささげたい」(笹村武史さん、30歳、元野村證券勤務)などの理由で、元野村マンをはじめとする人材が堀江さんの下に集いつつある。
日本においてIFAの認知度は低く、質の向上という課題もある。堀江さんは「肌感覚ですが、日本のIFAは7~8割が業務委託契約です」と指摘する。業務委託ならば、雇う側に固定費がかからないが、一方で会社としての強制力を発揮できない。そのため、IFAを育てることが難しいというのだ。
起業した当初は、堀江さんもIFAと業務委託契約を結んでいた。だが、こうした問題に直面し、今はIFA全員と雇用契約を結んでいる。「コストが増加し、経営のリスクは増えましたが、それが確固たる目指す姿だと考えています」と述べる。
だが、この構造的な問題を解決すれば、「IFAは将来的に大きくなるはずです」と自信を見せる。今や、金融はIT企業からの“領域侵犯”を受ける立場だ。「もしかしたら、将来的な競争相手は証券会社ではなく、アリババやアマゾンかもしれない」という危機感を持ち、事業拡大にまい進している。