その4 八方ふさがり

「銀行・証券断末魔」特集(全5回)その4は、上・中・下編に分けてお届けする。今回のその4(下)は、証券会社からの転職事情に焦点を絞った。前期決算の悪化を機に、証券業界で人材流出の機運が高まった。すでに足元では、異業界に逃げ出す証券マンが増えつつある。加えて、金融業界の在り方を変えようと起業した、元野村マンの思いの丈を聞いた。(ダイヤモンド編集部 田上貴大)

転職者数は横ばいながら
“脱金融”を選ぶ証券マンが増加

 本特集番外編「メガバンク・地銀出身者の転職事情、バンカーに人気の3業界とは?で示したように、銀行からの転職者が急増している。片や証券会社はというと、足元ではあまり増えていない。転職支援サービスのリクルートエージェントによると、2009年から18年までの証券会社からの転職者数はほぼ横ばいだ。

 これはなぜか。証券会社の給与体系は、営業成績で結果を残した分だけボーナスが増えるという特徴がある。リーマンショック後、証券会社は安定した収益を上げており、ボーナスが「右肩上がりとなった」(水谷努・リクルートキャリアの金融領域キャリアコンサルタント)という事情があった。