『「カッコいい」とは何か』(講談社現代新書)を上梓した小説家・平野啓一郎さんと、『いちばん大切なのに誰も教えてくれない段取りの教科書』の著者であり、「くまモン」の生みの親であるクリエイティブディレクターの水野学さんの対談。
(前編・中編はこちらをご覧ください)
今回は「カッコ悪い」とはどういう状態かという話から始まり、仕事において「美しくカッコいい」を実現するために大切にしていることについて語り合います。
(構成/香川誠、和田史子、撮影/増元幸司)
鼻毛が出ているのも、
鼻毛を抜く行為もカッコ悪い!?
クリエイティブディレクター/クリエイティブコンサルタント/good design company 代表
1972年 東京生まれ。1996年 多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業。 1998年 good design company 設立。ゼロからのブランドづくりをはじめ、ロゴ制作、商品企画、パッケージデザイン、インテリアデザイン、コンサルティングまでをトータルに手がける。
著書に『いちばん大切なのに誰も教えてくれない段取りの教科書』(ダイヤモンド社)、『「売る」から、「売れる」へ。水野学のブランディングデザイン講義』(誠文堂新光社)、『センスは知識からはじまる』『アウトプットのスイッチ』『アイデアの接着剤』(すべて朝日新聞出版)などがある。初の作品集『アイデア特別編集 good design company 1998-2018』(誠文堂新光社)も発売中。
水野 ここまで、豊かさのカッコよさ、美しさのカッコよさについて話してきましたけど、もう一つ話したいテーマがあります。
それは人間の本能みたいなところでいうカッコよさ。
たとえば、鼻毛が出ているのって、だめじゃないですか。でも鼻毛を抜いている行為ってカッコ悪いですよね。「どっちなんだよ」って思うんですよね。
平野 言われてみれば(笑)。
水野 その話を踏まえてなんですけど、僕は、人間ってものすごく本能的なところで生きていると思っていて、その本能に紐付いて、「カッコいい」「カッコ悪い」という判断を下しているのだろうなと思っています。
たとえばナルシストな男性って、女性にあまり好かれませんよね。それは子供ができた時に、「ナルシストの男の人って育児しなさそうだな」と思われるから嫌われるんじゃないかな、と思って(笑)。
平野 (同席する女性スタッフに)という意見ですが、どうですか?(笑)
女性スタッフ 自分のことしか考えていないように見えているのかもしれませんね。