9割5分はデザイナーに任せれば
カッコいいものはどんどん生まれる

水野学さん水野学さん

平野 水野さんが引き受けるブランディングの仕事は、ある意味、その会社のアイデンティティに触れるような作業ですよね。でもそこはある程度、水野さんのやり方でやらせてもらっているのですか?

水野 企業はデザイナーを決めるところまで必死にやったほうがいいと僕は思います。
そのデザイナーがこれまでどんなものを作ってきたか、どんな業績を上げてきたか。どんなことを言ってきたかということを、今ならネットでも簡単に調べられるでしょう。
せめてそれくらいは調べておいて、「このデザイナーがいいな」と思ったら、10割とは言わないけれど、9割5分くらいは任せたほうがいいのではないかと思います。

平野 なるほど。9割以上任せてくれれば、デザイナーもいいものを作れそうですね。

水野 はい。「カッコいい」がどんどん生まれていくと思います。

平野さんの『「カッコいい」とは何か』は新書としては長編ですけど、「カッコいい」ことの話って、まだまだずっと、朝まで議論できそうですね。「奥田民生さんがカッコつけていないのにカッコいいのはなぜか」とか(笑)。この本もまた読み込もうと思います。

平野 ありがとうございます。再読してのご感想も、ぜひまたお願いします。

水野学さん、平野啓一郎さん対談はこれで終わりです。