2つ目は、人口は減ってもまだ世帯数は増えていることだ。住宅ストックは180万戸増えたが、世帯数は150万世帯以上増えており、空き家は26万戸しか増えなかった。このため、空き家率の上昇は近年鈍化してきている。日本全国で見ても、5年前と比べて0.1%しか増えていない。建物の滅失も世帯増も当分続くことになるので、現状の100万戸弱の新規着工を考慮に入れても、空き家が大幅に増えることはあり得ない。

「空き家問題」とは
もっともらしいデマである

 筆者は当連載で「『空室ばかり』と言われる賃貸住宅の家賃が上がり続ける理由」という記事を紹介した。一般に空き家は将来的に増えていくものと問題視されているが、そうではないと述べたのだ。

 その論旨は、空き家のうち、貸したり、売ったりといった市場で行動しているものは少なく、そうでないものは「デッドストック」として増えているだけなので、市場に悪影響を及ぼさないというものだ。

 もし10%以上の空き家が埋まらなくて困っているならば、市場の家賃は大幅に下がるはずだが、そうはなっていない。だからこそ、「結果として、空き家問題とはもっともらしいデマでしかない」と私は述べた。この記事はダイヤモンド・オンラインでいつもの数倍読まれ、翌週の『週刊ダイヤモンド』本誌にも掲載された。
 
 実際に私たちは、賃貸住宅の駅ごとの空き家率を把握している。東京都の市況がよいところでは、現状の空き家率は2%程度しかない。これは空室期間が1ヵ月程度しかなく、すぐに次の借り手が決まるレベルだ。こんな状態だからこそ、物件の家賃は値上げされ、再募集されているのだ。