ローソン理事会メンバーは「優等生だけ」の声
過酷な状況を慰め合うしかないオーナーの不満
現場の声に耳を傾ける制度ではあるものの、別のローソンのオーナーは、「理事会は“優等生オーナー”の集まり。理事会の認識よりも、実態はさらに過酷だ」と嘆く。
このオーナーによれば、理事会の下部組織で地区のオーナーが集まる「エリア会」は、「月の労働時間が400時間になった」「資金の余裕がなく、従業員を社会保険に加入させられない」などと、オーナー同士で過酷な労働環境を慰め合う場になっているという。
なお業界2位のファミリーマートは「大手3社の中では一番、本部が緩い」(ファミリーマートのある現役オーナー)との声もあるが、それはあくまで、SEJやローソンと比べれば、ということだ。
「ここ最近、本部の締め付けが厳しくなっている」と打ち明けるのは、ファミマの田柄四丁目店(東京都練馬区)のオーナー、盛山教也さんだ。
ファミマ本部の経営指導員(SV)は、例えば本部の主導でサンドイッチの割引セールを行う際、下写真のように、POPと呼ばれる広告で売り場を飾り、商品を目立たせる陳列をしているかどうかをチェックする。
そして最近は、「SVが陳列の様子を店ごとに写真に撮り、本部に報告している」(盛山さん)。セールでは値引き金額こそ本部負担だが、通常より多い個数を発注することが“推奨”される。仕入れを増やし、棚にぎっしりと商品を並べているか否かを、本部は写真という証拠を集めて監視の目を強めているのだ。
コンビニ加盟店ユニオン傘下のファミリーマート加盟店ユニオンに加入している盛山さんは、普段から見切り販売をしているため、廃棄負担を減らすことができるが、「見切りをしていない他のオーナーは、プレッシャーを感じて本部の要請通りに発注せざるを得ないだろう」と話す。
ファミリーマートの澤田貴司社長は、2016年に社長に就任する直前の3週間、自ら店頭に立って働き、その業務の煩雑さを痛感したという。就任後は店舗業務の効率化を打ち出しており、本部に批判的なオーナーの間でも、澤田氏に期待する声が上がる。
そんなファミリーマートは10~12月にかけて、全国で希望する640店が参加する深夜閉店の実験を実施するほか、今夏には「土用の丑の日」に合わせたうな重の販売を完全予約制に切り替え、売れ残りによる加盟店の廃棄負担を減らすなど改革に乗り出す姿勢を見せている。だが、オーナーの労働環境の過酷さを考えれば、取り組みは緒に就いたばかりだ。