『ブロックチェーン、AIで先を行くエストニアで見つけた つまらなくない未来』の取材のため訪れたエストニアで、たまたま日本人の若者と出会った。同書にも登場する、齋藤 アレックス 剛太さんだ。その彼がこの度、エストニア発の新しいサービス、SetGoを生み出した。エストニア法人の設立を、日本にいながらでもわずか10分程度でできるようにするというものだ。このサービスは、日本の行政サービスの電子化にとどまらず、私たち日本人がこれからどう働き、暮らしていくかについて、大きなヒントを与えてくれるだろう。(文・小島健志)

エストニアが注目を集める理由の1つである「イーレジデンシーカード」とそのキット。ここから私たちは何を学ぶべきだろうか(筆者撮影、最新のe-Residencyカードはデザインが変わっている)

ブログの開設感覚で法人設立ができる
エストニア発の新サービスが誕生

 スマートフォンやパソコンから法人設立をできるようにするため、今年7月に内閣府は「マイナポータル申請API」を明らかにした(注:APIとは、アプリケーション・プログラミング・インターフェースの略)。2020年度内にも、マイナンバーカードとインターネットを利用すれば、煩雑な書類のやりとりなしで法人設立ができるようになりそうだ。

 中小企業白書によると、雇用保険適用をベースとした事業所の開業率は5.9%(2017年時点)であり、フランスの13.2%、英国の13.1%、ドイツの6.7%に日本は及ばない。そのため、今回の法人登記の電子化は起業を促し、日本経済の活力になる可能性を秘めている。

 実はこのモデルとなった国の1つが、欧州バルト三国のエストニアである。人口約130万人のこの小国は電子政府化が進み、99%の行政手続きがオンラインで行うことができる

 法人設立についても同様だ。エストニアでは、電子認証・署名機能を搭載した「e-IDカード」を用いて専用サイトにアクセスすることで、15分から20分程度で会社設立ができる。e-IDカードは、マイナンバーカードそっくりのものであり、電子行政化がまだ1割程度しか進んでいない日本にとって、エストニアは未来を先取りする先進事例なのである。

 とはいえ、エストニアの電子政府といわれても遠い話のように感じるかもしれない。しかしながら、この9月、エストニアの電子政府を体感でき、実際に現地に行かずともエストニア法人の設立が簡単にできるプラットフォームが誕生した。それがSetGo(セットゴー)、エストニア在住の日本の若者とエストニア人が立ち上げたサービスだ。このサービスは、マイナンバーカードが普及し正しく運用された先の未来を感じさせるものであり、日本人の働き方にも大きなヒントを与えるに違いない