本当に10分で法人設立ができるのか?
「SetGo」を実際に使ってみると……

「ブログを開設する感覚で簡単に法人設立ができるサービスをつくりたいと思いました」

 SetGo共同創業者(Co-Founder)である齋藤 アレックス 剛太さんはそう話す。わずか10分で海外の法人設立が可能というが、果たして本当にそんな簡単にできるのだろうか。

「マイナンバーカード」の先に、どんな未来が待っているのか?SetGoのサイト。実際の入力画面の詳細は以下を参照。入力画面(1) 入力画面(2)

 そこで筆者もトライアルサービスを利用した。SetGoのサイトに入り、ログインした後、日本語の案内のままに「会社名」「事業領域」「資本金」「創業者・役員」の4項目にわたる情報を入力。そして、最後に決済と電子署名を済ませれば、法人登記の申請までわずか30分程度で終わった。

 時間がかかったのは、e-ID(これについては後述)の認証に手間取ったからだ(原因はOSやブラウザの相性の問題で、SetGoそのものとは関係ない)。今回が本番利用であれば、エストニアの1営業日を経て申請が認められるという。

 もちろん、このサービスがなくても政府ポータルサイトとe-IDを通じて、現地の法人設立はできる。だが、法人設立に必要な「リーガルアドレス(法人住所)」と「コンタクトパーソン」、日本語のカスタマーサポートをSetGoが提供してくれるため、よりスムーズに登記できる。もっといえば、エストニア人がオンラインで「すぐに起業できる」という体験を、日本人でも実感することができるのだ(ただし、銀行口座の開設は別だ)。

 エストニアで会社をつくる最も大きなメリットが、EUの5億人の市場にアクセスできることだ。エストニアはEU加盟国であるため、エストニア法人をつくり玄関口とすることで、EU経済圏のビジネスを容易に展開できる。実際、EU離脱を見越した英国人による会社設立が続々と行われている。

 特に、オンライン事業やコンサルティング事業、ITプロダクト開発など土地に縛られないような事業においてメリットが大きい。資本金は最低2500ユーロ(約30万円)が必要なものの、最初の配当を出すまで資本金の払い込みは猶予してもらえる。法人税も一律20%などとシンプルな税制であり、配当などの利益分配するまではかからない。そのため、スモールスタートにはよいといわれている。

 しかしながら、SetGoは誰もが利用できるわけではない。実は、この利用にはエストニアのe-IDが必要であり、これを入手するためには、エストニアのe-Residency(イーレジデンシー)を取得しなければならない。