破綻へのプロセスは
すでに始まっている

――米IT大手のフェイスブック、アマゾン・ドット・コム、ネットフリックス、グーグルの頭文字を並べたFANGが米国株高を牽引していますが、米国株を持っていない理由はなんでしょう。

 FANGの事業は継続するだろうが、今の株価は明らかに割高だ。これまでずっと上昇を続けてきたが、2カ月ほど前から下落の兆候が見受けられる。

 歴史を振り返れば、ベアマーケット(下落相場)は誰も気付かないところから始まる。

 例えば08年に表面化したアイスランドやアイルランドの金融危機は誰も気付かないところで進行していた。(米投資銀行の)ベア・スターンズが破綻した頃から気付き始める人が増え、リーマン・ブラザーズの破綻により全世界の人々がようやく危機を知った。

 当時と同じように破綻へのプロセスは今、既に始まっている。

 国別で見れば、ラトビアが非常に深刻な事態になっていて、アルゼンチン、インドネシア、トルコもそれに続くだろうが多くの人にあまり気付かれていない。あるいは気付いているかもしれないが、ささいなことと受け止められている。ドイツの株式も下落が続いているし、FANG株はディストリビューション(売り抜け)が起きている。

 これらは全てつながっており、繰り返すが破綻へのプロセスは既に始まっている。

著名投資家のロジャーズ氏に聞いた「今の買いは?」
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――中国株を保有しているとのことですが、米中貿易戦争の影響をどうみますか。

 確かに中国株は最高値から約6割も下がっている。米中貿易戦争により、中国だけでなく韓国などアジア経済は深刻な影響を被っている。要するに貿易戦争で得をする者は誰もいないということだ。

――中国やロシアで保有する株式の銘柄は。

 農業関連株だ。農業は世界的にずっと低迷し、割安だ。具体的には肥料や農機材メーカー、農園関連に投資している。

――なぜ農業に着目しているのですか。

 例えば砂糖の国際価格は史上最高値から大幅に下落している。世界的に農業従事者の平均年齢は高く、英国やインドでは多くの自殺者も出ている。

 私の投資の哲学は、「安く買って高く売る」ということだ。農業は今、世界的に壊滅的な状況にある。

――今後成長するとみているのでしょうか。

 特にロシアは農業関連で恩恵を受けるだろう。その理由は、米国の経済制裁により、逆にロシア国内で競合がなくなったからだ。トランプ米大統領にはむしろ感謝したいぐらいだ。

 そして中国政府は過去4年間、都市と地方の経済格差を解消するため、地方での農業従事にインセンティブを与えている。