香港デモPhoto:Reuters

――筆者のゴードン・チャン氏は「やがて中国の崩壊がはじまる(原題:The Coming Collapse of China)」の著者

***

 香港のデモは16週目に入った。デモ隊は抵抗のシンボルとして折り鶴を折り、新たな「国歌」を歌い、中国の国旗を燃やし、バリケードを築き、火炎瓶を投げ、敵とみるや気絶するまで殴った。抗議デモは今や反政府運動の様相を帯び、香港社会全体が地元当局に激しい批判の矛先を向けている。

 香港は1997年以降、「特別行政区」として中国の統治下にある。2014年の大規模な抗議デモ「雨傘運動」は79日間に及んだが、中国への持続的な影響はほとんどなかった。だが今年のデモは違う。「中国の崩壊(disintegration)はもう始まっている」。中国史を研究するペンシルベニア大学の歴史学者アーサー・ウォルドロン氏は先月、筆者にこう語った。

 中国の歴史においては、体制は外側から徐々に崩れることが多い。ウォルドロン氏によると、「崩壊は帝国の端で始まる。それが進行すると周辺領域を次第にむしばみ、最後に中央の権力が危険にさらされる」。隆盛を誇った唐王朝が10世紀に滅んだ時もそうした経過をたどった。ウォルドロン氏の言葉を借りると、「首都から遠く離れた場所で起きた軍事的な反乱によって(唐は)致命傷を負った」という。