――選挙といえば、年金財政検証の公表が遅れ、参院選後になったことも、「老後2000万円問題」が燻るなかで選挙に影響が出ることを恐れたためではないか、と言われましたね。

 財政検証で行われる試算はこれまでも「厚化粧」のようなものばかりでしたが、今回はそれを通り越して、「プチ整形」の域に入ったと思います。たとえば、「パートやアルバイトであっても月収が5万8000円以上ある人を厚生年金保険に加入させ、さらに支払い期間を延長すれば、将来的に所得代替率が最大で10%以上上乗せされる」といったオプション試算です。ここでは、パートやアルバイトの給料から保険料が天引きされた場合、どれくらい手取りが減って苦しくなるかは言及されず、楽観的な見通ししか述べられていない。老後どころか、手元のお金が心配になってしまうような内容です。

 こうした「プチ整形」のような財政検証を参院選前に公表することは、さすがにできなかったのでしょう。安倍政権の政策運営は、「何だかおかしいな」と思うと、みんな選挙対策に紐づけて考えれば合点がいきます。彼らは、選挙のことしか考えていないのですから。

軽減税率もポイント還元も
あまり負担軽減にならない

――では、軽減税率やキャッシュレス決済時のポイント還元は、どれくらい増税のインパクトを埋めることができるでしょうか。

 正直言って、生活の負担軽減効果は限定的だと思います。

 まず軽減税率ですが、飲食料品はイートインなら10%、テイクアウトなら8%と、とにかくわかりづらい。それに、せいぜい「調理の際にみりんを買うか、みりん風調味料を買うか」くらいの問題であり、普段の生活にそれほど影響はないでしょう。そのうちどこの業者も「安売り」を始めるだろうから、そうした機会に安くまとめ買いするほうがお得なのでは、と思ってしまいます。

 欧州のようにインボイス制度(適格請求書等保存方式)が整っているならいいですが、まだ制度が整っていない日本では、事業者側も税務の際に税率が違う物品の仕分けで混乱すると思います。政局絡みとはいえ、安倍内閣はよくもこんな制度を導入したものです。