「アンポンタン」はアウト
匿名にもリテラシーは必須

 サイト管理者・運営者が、口コミの削除や発信者情報開示の要請に応じることが少ないのは前述の通りだが、こと「犯罪」を誘発する恐れのある文面となれば、そうもいかない。

「『お前の9歳の娘が○○小学校に通っているのは知っているぞ、気をつけろ』『殺すぞ、死ね』のような書き込みなら、割とすぐにサイト側も削除してくれる傾向にあります。ここまでくると脅迫罪が成立し、民事だけではなく刑事罰に問われる可能性も出てきますね」

 こんな事例もある。2013年、東京地裁はネット掲示板に「社長ってあのアンポンタンでしょ。自分の会社で何を作れるかも知らないしどんなレベルかも知らない」と投稿した発信者の情報開示を、サイト側に求めた。

「『アンポンタン』という言葉はただの侮辱であり、社長の社会的評価を低下させるし、公益目的の書き込みでもありません。また、おそらくは原告が社長だったということも判決に影響しているのでしょう。その投稿によって、社会に広く経営上問題のある会社という印象を与えてしまいかねませんからね」

 野島弁護士によれば、仮にこれが「せんえつながら、あの社長様は、自社で開発されている製品すらあまりご存じないようで、少々能力に疑問があります」という問題提起の投稿であったなら、判決は違った可能性もあるという。

 特定の人物を「アンポンタン」「バカ」「アホ」などと侮辱する投稿は、割に合わない結果をもたらすリスクもあるのだ。

「口コミを書くにあたっては、『うそ』と『侮辱』はいけません。匿名だからネット上で何を言ってもいいというわけではなく、倫理観やリテラシーを持つことが大切です。ただし、口コミに感想を書くのはまったく問題ありません。法曹界においても、裁判所は弁護士会に、『裁判官人事評価情報』という裁判官の口コミ回覧板を回してきて、我々弁護士が、裁判官に対して『熱心にやってくれている』『全然やる気がない』などを評価しているぐらいですからね」

 特段に害意のない感想や☆1つつけるぐらいであれば、法的措置を取られる可能性は低い。ただし、匿名での書き込みには“悪ノリ”や“憂さ晴らし”のような投稿もしばしば見られる。自分を律することも忘れてはならないのかもしれない。